ルマでの戦い 3

文字数 1,435文字

 後片付けをしているユモトとサワを指差してルーが言う。

「あの2人、お似合いじゃない?」

「おっ、確かに!!」

 イタヤは身を乗り出して言ったが、何だそんな事かとアシノは呆れた。

「サワはユモトくんに興味があるみたいだし、何か相性も良さそうだしな!!」

「そうよ、こうして見てると美少女2人組だけど、お姉さんと女の子に興味津々なお年頃の男の子なのよね」

「うんうん、サワにもそろそろ結婚相手を探して欲しいと思っていたしな、よし、あの2人応援しちゃうか!!」

 ウリハがまた呆れてイタヤの頭を引っ叩く。

「あんたは人のことより自分のことを考えろ」

「そうでした」

 頭を抑え、舌をペロッと出してイタヤは言った。



 それぞれ皆が落ち着いた所でアシノが作戦を伝える。

「まず、この赤い薬について説明をしておきます」

 それはムツヤのカバンから取り出した、どんな傷でも一瞬で治るあの薬だ。

「これは飲むか傷口に振りかけるかすると、致命傷でも一瞬で治る薬です」

「そんな便利なモンが……」

 イタヤは驚く。しかし、信じられないが、信じるしか無いのだろう。

「これを各自最低3本は持っていて貰います」

「確かに、備えあれば憂いなしですね」

「それと、サワさんは回復魔法が使えるのですよね」

「はい。そこまで一瞬で治せるような物では無いので、意味が無いかもしれませんが……」

 サワが言うと、アシノは首を横に振って話す。

「いえ、私達もやった事があるのですが、回復魔法を使うふりをして負傷者をこの薬で治すのです」

「なるほど、その手が……」

「使う場合は、裏の道具を目立たせたくないので、本当に瀕死の者だけに限りますが……」

「それで、ルマは2つの大きな門があります。ムツヤは一人で『青い鎧の冒険者』になって遊撃をしてもらうとして、残った我々は私一人と、門を守る二手に別れたいのですが」

「アシノさん達と、俺達の二手に分かれるって感じですか?」

 イタヤが聞くと、アシノは「いえ」と言って続けた。

「まず前衛ですが、これはイタヤさんとウリハさんにそれぞれお願いしたいのです」

 それを聞いてモモはまた自分の力不足にシュンとしたが、今はそんな事を思っている場合ではない。

「なるほどねー、分かりましたアシノさん!!」

 イタヤが言うとアシノが頷いた。

「それで、お二人が一緒に戦いやすい仲間をこの中から編成します」

 うーんと少しだけ考えてイタヤは返事を入れた。

「俺とウリハの戦い方を説明すればいい感じですかね?」

「お話が早くて助かります」

「そうだなー」と言ってイタヤが考えている間、先にウリハが話し始めた。

「私は各種魔法と剣を使い戦います。支援魔法があるとありがたいのですが……」

「俺は光の魔法と剣でガンガン殴っていく感じかな。一対一は任せてほしいんだが、雑魚に囲まれるのは苦手だな」

「なるほど……」

 アシノは考える。そして、しばらくして頭の中で編成を考え終えた。

「ウリハさんにはユモトとサワさん、そしてヨーリィだな」

 名前を言われ、ユモトは「わかりました」と言い、ヨーリィは黙って頷いた。

「えっと…… ちょっと良いですか?」

 勇者アシノ相手なので緊張したが、サワはここで少し待ったを出した。

「回復役のユモトさんと私が一緒で良いのでしょうか?」

 それに対してユモトが代わりに答える。

「あの、サワさん。僕は回復魔法がまだ使えなくて……」

「でも、裏のお薬で回復魔法を使っているフリは出来るのでしょう?」

 真っ当な意見だった。それに対しアシノはこう答えた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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