その心は 6

文字数 1,010文字

 トイレを終えて一段落していると、またムツヤへ来訪者が現れた。

「お兄ちゃん、まだ起きてる?」

 扉を開けてやって来たのはヨーリィだ。トコトコと歩いてベッドに座る。

「ヨーリィ」

 ムツヤが名前を呼ぶとヨーリィは要件を言う。

「魔力が少なくなってきた。今のお兄ちゃんからは補給が出来る?」

「あぁ、大丈夫だよ」

 ムツヤがそう言うと、ヨーリィはもぞもぞと布団に入ってきて手を繋いで寝る。

「お兄ちゃんは……」

「ん?」

 ヨーリィが何かを言いかけた。しばらく沈黙した後続ける。

「お兄ちゃんは、サズァン様と戦うことになったら、戦える?」

 なるべく考えないようにしていた事を言われ、ムツヤは少しだけドキッとした。

「大丈夫、きっと何がの間違いだよ」

 そう答えると、ヨーリィはじっと見つめ直す。その視線から逃れられないムツヤは別の回答をした。

「えっと、もしサズァン様が、本当に世界を滅ぼそうとしでいるなら……。俺は止める」

「そう……」

 自分から聞いたのに、あまり興味が無さそうにヨーリィは呟き、その後言葉を続ける。

「もしも……」

 そして、ヨーリィは視線を()らせて言った。

「もしも、マヨイギ様が同じ様に世界を滅ぼすって言ったら、私はマヨイギ様の味方をしてしまうかもしれない」

 それだけ言い終えると、ヨーリィは目を閉じる。

「そっか……」

 ムツヤはそう言って頭上を見上げた。

「俺は……、俺は、サズァン様も大事だけど、一緒に居る皆も、この世界の人達も大切だ」

 今、一緒に居る仲間達、それに旅で出会った人達の事を思い出す。

「サズァン様が何で世界を滅ぼすって言っているのかわからない。でも、直接理由を聞けば分かるかもしれない」

 自分自身に言い聞かせるようにムツヤは話し続けた。

「私は、お兄ちゃんの味方をする」

「ありがとな、ヨーリィ」

 そんな話を終えると、二人はすやすやと眠ってしまう。



「ハァイ、ムツヤっちー?」

 ヨーリィとの会話が終わって数時間後、ルーが部屋のドアをバンっと開けた。

「んー? ルーさんでずか?」

 上体を起こしてムツヤが部屋の入り口を見る。

「ムツヤ、起きられるぐらいにはなったか?」

 アシノがルーの後ろから声を掛けた。

「はい! もうちょっと休めば大丈夫でず!」

「そうか、無理はするなよ。お前だけが頼りなんだ」

 誇張表現でも何でも無く、世界の命運はムツヤに掛かっている。

 そんな本人はそれを分かっているのか分かっていないのか、といった状態だったが。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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