それからのこと 3

文字数 1,337文字

 裏ダンジョンである塔が崩れ去り、一ヶ月が経つ。

 邪神サズァンは勇者達が力を合わせて倒したことしておいた。

 国王の死と、邪神の騒動があり、国は慌ただしい。

 アシノは邪神サズァンを倒す時に能力を使い切った事にした。

 彼女曰く「やっと肩の荷が下りた」との事だ。

 イタヤは各地を周り、復興の支援をしている。

 サツキは王都に残り、治安の維持をしていた。

 お尋ね者の元勇者トチノハだが、先代王の評判が良くなかった事と、世界の平穏を脅かす邪神を倒した功績が認められ、特別に恩赦となった。

 今は国の命令に従って、国境の警備をしている。




 勇者達の進言もあり、裏ダンジョンの現れた一帯は立入禁止になる。

 迷い木の怪物とアラクネのナリア。ノエウはそこでひっそりと暮らすことになった。




 ムツヤは柔らかなベッドの上で目が覚める。

 うーんと伸びをして家の外に出た。

「おはようございます。ムツヤ殿」

 人間のような顔立ちのオーク。モモに声を掛けられた。

「おはようございます! モモさん!!」

 ムツヤはオークの村で空き家を与えられ、厄介になっている。

 モモの家まで行くと、妹のヒレーと美味しそうな朝食が待っていた。

「いよいよ、今日ですね!!」

 モモはニコニコ笑いながらムツヤに話しかける。

「そうでずね!!」

 何だかムツヤも楽しそうだった。

 朝食を食べ終え、二人は村を旅立つ準備をする。

 村中のオークに見送られて村を出ていった。




 談笑しながらスーナの街へ向かう。

 そして、一軒家を訪ねた。

「ムツヤさん!! モモさん!!」

 出迎えてくれたのは、美少女……。に見える男の子だ。

「ユモトさん! お久しぶりです!」



 三人はスーナの街の冒険者ギルドへと向かう。

「やぁ。お久しぶり」

 ギルスが研究室で待っていた。

 死んだことになっていたギルスだが、勇者アシノの手伝いをするために消えていた事を明かし、今では普通に暮らしている。

「やーん!! みんなー!!」

 部屋の奥からルーが現れた。


 ルーも加わり、一行は王都を目指す。

 王都が見える距離まで来ると、先に裏ダンジョンの現れた森へと向かう。

「お久しぶりです」

 マヨイギと共にヨーリィは森で過ごしていた。

「お久しぶりーヨーリィちゃん!!」

「久しぶり、ヨーリィ!!」



 みんなで王都へと向かった。

 招待状片手に城へ入ると、一室に通される。

「久しぶりだな、お前ら」

 アシノが扉を開けて入ってきた。

「久しぶりねアシノ」

 椅子にドカッと座るなり天井を見上げるアシノ。

「この一ヶ月、本当に疲れた……」

「お疲れ様です」

 ユモトが苦笑いしながら言う。

 アシノは偽装工作やら、演説やらで大忙しだった。



 裏ダンジョンと共に、裏の道具は殆どが消え去ったが、まだ残っている物もある。

 それらを探すのがムツヤ達の使命だ。



「さーて、また冒険の始まりだな」

 王都の門を抜けるとアシノは伸びをしながら言う。

「えぇ、そうですね」

 モモも澄み渡る青空を見上げて言った。

「行きましょう!!」

 ユモトは楽しそうにニコニコと笑っている。

「そうね!!」

 ルーもそう言って胸を張った。

 ムツヤはチラリと、こちらの世界に現れた森の方角を見た。もう見慣れた塔は無かったが。

 そう、彼の生まれ故郷は。

 裏庭が裏ダンジョンでした。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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