黎明の呼び手 5

文字数 842文字

 空には背中から羽を生やした少女。魔人と化したミシロが飛んでいた。

 彼女はムツヤを見た瞬間恐ろしい形相に変わる。

「お前は……、ラメル様の仇!!!」

 次の瞬間、ミシロは魔剣ジャビガワを構え、急降下してムツヤを狙う。

 魔剣同士がぶつかり合い、ガキンという音の後に白い湯気がブワッと周りを包む。

 そこからは乱戦だった。ムツヤは何度も飛んでくるミシロの攻撃を避けながら、周りの死霊達も斬る。

 アシノ達も加勢し、次々に死霊を倒していった。

 ミシロの実力は相当な物だったが、ムツヤの方が一枚上手だ。

 飛びかかる彼女に、カウンターで斬撃を当てた。ミシロの腹からは業火が溢れ、確実にダメージを与えている。

「ミシロ様!! ここは私に任せ、お引き下さい!!」

 男が叫ぶも、ミシロは一向に逃げることをしない。そして、叫ぶ。

「ラメル様の仇を逃がせっていうの?」

「違います!! ミシロ様にはもっと力を付け、勇者を倒して頂きたいのです!!」

 ミシロは本能的に分かっていた。眼前にいる仇は、今戦っても勝てないと。

「っく」

 唇を噛み締めながらミシロは飛び去っていった。

「待て!!」

 ムツヤが上空に跳んで行くものの、空を自由に飛べない為、無駄に終わった。

「お前等の相手はこの俺だー!!」

 死霊の軍勢が雪崩のようにやって来る。次々に倒し、裏の道具を持つ者とムツヤは対峙した。

 斧と槍の連撃を受け流し、真っ二つに斬る。業火が死霊を浄化していった。

「ぐっ、クソっ!!」

 死霊を殆ど倒されてしまった男は、やけくそ気味に短剣を引き抜いてムツヤに突っ込むが、いとも簡単に殴られ終わってしまう。

「まだ奥の手が残ってるぜ、奥の手がな」

「負け惜しみはやめろ」

 アシノが言った次の瞬間。男は短剣を自分の心臓めがけて突き刺した。ムツヤは混乱する。

「なっ!?」

「俺が、死霊になる事だ」

 男から黒い煙が溢れ出す。先ほどとは比べ物にならない殺気にムツヤは距離を取る。

「うがあああああああ!!!」

 死霊と化した男は、短剣を持ち、ムツヤに襲いかかる。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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