千年前の物語 2
文字数 959文字
サズァンは少しも怖気 ずに右手の人差し指をナイフへと向けた。
瞬間、氷柱が打ち出され、青年の手からナイフが弾かれる。
「っつ!!」
青年が思わず手を押さえると、体の力が抜け、痺れて動けなくなった。
あっという間に青年達の自由を奪うサズァン。一歩一歩と彼等に近付く。
すると、先程の女の子が飛び出てきた。
「や、やめろー!!」
ナイフを構えてそう叫ぶ。サズァンはゆっくりとしゃがみ、女の子と目線を合わせた。
「ごめんね、お金はこれしか渡せないわ。それと……」
サズァンは懐を漁って希少な甘味、飴玉の入った袋を取り出す。
「良かったら食べてね」
それらを地面に置くとサズァンは立ち上がり語りかける。
「褒められた行為じゃないけど、あなた達も生きるために仕方がなかったのでしょう」
女の子はサズァンを見上げた。
「きっと、きっと勇者様が魔物と魔人を倒して下さります。どうか、希望を捨てないで生きてね」
そう言ってサズァンは去る。女の子と青年が見えなくなってからサズァンは悔しさを噛み締めていた。
あんな子供でも悪事を働かないと生きていけない現状に。そして、金を渡す以外に何もしてやれない自分自身に。
だが、それも魔人エィノキさえ倒せば収まる。それまでの辛抱だと自分自身に言い聞かせた。
翌日になり、サズァンは情報を集めるために冒険者ギルドへ向かった。
その帰り道で、昨日の女の子にばったりと出くわす。
「あっ」
女の子はサズァンを見かけると、そう小さく声を漏らした。
「あら、元気かしら?」
そう言うと、女の子は目線を下に逸らす。
だが、その後サズァンを見て言葉を出した。
「あのっ、昨日はごめんなさい!! そして、ありがとうございました」
それを聞いてサズァンはにこやかに微笑んだ。
「あなた、名前は?」
「名前……。私はミルって言います」
「そう、ミル。いい名前ね」
ミルは言われて少し照れ、その後笑顔を作った。
「私はサズァン。よろしくね」
街に滞在して数日。冒険者ギルドで有力な情報が入る。
北の枯れたダンジョンで大きな魔力の反応があったらしい。
勇者ソイロークとニシナー。サズァンはその地を目掛けて旅をした。
道中の魔物が明らかに強く、魔人エィノキに近付いている確信が湧いてくる。
魔物を倒しながら三日掛けて枯れたダンジョンにたどり着いた。
瞬間、氷柱が打ち出され、青年の手からナイフが弾かれる。
「っつ!!」
青年が思わず手を押さえると、体の力が抜け、痺れて動けなくなった。
あっという間に青年達の自由を奪うサズァン。一歩一歩と彼等に近付く。
すると、先程の女の子が飛び出てきた。
「や、やめろー!!」
ナイフを構えてそう叫ぶ。サズァンはゆっくりとしゃがみ、女の子と目線を合わせた。
「ごめんね、お金はこれしか渡せないわ。それと……」
サズァンは懐を漁って希少な甘味、飴玉の入った袋を取り出す。
「良かったら食べてね」
それらを地面に置くとサズァンは立ち上がり語りかける。
「褒められた行為じゃないけど、あなた達も生きるために仕方がなかったのでしょう」
女の子はサズァンを見上げた。
「きっと、きっと勇者様が魔物と魔人を倒して下さります。どうか、希望を捨てないで生きてね」
そう言ってサズァンは去る。女の子と青年が見えなくなってからサズァンは悔しさを噛み締めていた。
あんな子供でも悪事を働かないと生きていけない現状に。そして、金を渡す以外に何もしてやれない自分自身に。
だが、それも魔人エィノキさえ倒せば収まる。それまでの辛抱だと自分自身に言い聞かせた。
翌日になり、サズァンは情報を集めるために冒険者ギルドへ向かった。
その帰り道で、昨日の女の子にばったりと出くわす。
「あっ」
女の子はサズァンを見かけると、そう小さく声を漏らした。
「あら、元気かしら?」
そう言うと、女の子は目線を下に逸らす。
だが、その後サズァンを見て言葉を出した。
「あのっ、昨日はごめんなさい!! そして、ありがとうございました」
それを聞いてサズァンはにこやかに微笑んだ。
「あなた、名前は?」
「名前……。私はミルって言います」
「そう、ミル。いい名前ね」
ミルは言われて少し照れ、その後笑顔を作った。
「私はサズァン。よろしくね」
街に滞在して数日。冒険者ギルドで有力な情報が入る。
北の枯れたダンジョンで大きな魔力の反応があったらしい。
勇者ソイロークとニシナー。サズァンはその地を目掛けて旅をした。
道中の魔物が明らかに強く、魔人エィノキに近付いている確信が湧いてくる。
魔物を倒しながら三日掛けて枯れたダンジョンにたどり着いた。