下剋上 10
文字数 917文字
「ヒャッハッハ肉だー!!」
焼いた肉と香ばしいソースの匂いが部屋に立ち込める。気品ある部屋でテーブルマナーも何もない者達がそれを貪り食った。
「うめぇ、うめぇよ!!!」
「俺、生きてて良かった……」
皆の言う通りだ。こんなもの生きていて初めて食べた。だが、殺した貴族達には何てこと無い日常の食べ物だったのだろう。
そう考えると、殺したはずの貴族に、また殺意が湧いた。
腹一杯に食事を詰め込むと、フユミトが言う。
「ご飯も食べたし、お風呂でも入ろうか?」
「風呂だって? ずいぶん呑気だな……」
鉱夫が言うと、別の鉱夫もそれに便乗して言った。
「そうだよ、貴族殺しちまったんだぜ? 早く金目の物を盗んでトンズラしねぇと……」
そうだそうだと声が上がるが、フユミトは言う。
「大丈夫だよ、ナツヤの力なら普通の軍隊じゃ勝てない。それこそ勇者でもないと」
その言葉に皆が黙る。
「僕達、汗臭いよ、お風呂入っていい服に着替えよう」
フユミトはメイド達に風呂の用意をさせていた。大浴場に皆が集まる。
「おぉ、すげー!!!」
大きな風呂は湯気を放ち、見るからに気持ちよさそうだった。
「石鹸でよく体を洗ってから入ってね」
風呂に走ろうとする鉱夫をフユミトは止める。「そうだった」と鉱夫は笑った。
いい香りのする石鹸で体を洗う。汚れがひどいのか、泡が立たなかったので何度も洗った。
ナツヤはザパーンと勢いよく風呂に入った。本当に心地よい。まるで天国に来たかのようだ。
「どう、ナツヤ。気持ちいいかい?」
「あぁ、本当に、本当に気持ちいいよ」
湯から顔だけ出してナツヤは言った。
「でもさ、フユミト、俺は、俺達はこれからどうすれば良い?」
そこまで言いかけたナツヤの口にフユミトは人差し指を置いた。
「それはお風呂出た後にしよう? 今はゆっくりすればいいさ」
それもそうだなと思ったナツヤ。今だけはこの心地よさを感じていたかった。
風呂を出た皆は、上物の服へ着替えていた。そして先程、食事をした食堂へ集まる。
「皆、僕達はもう自由だ」
フユミトとナツヤはテーブルの端に立ち、そう言い放った。歓声が巻き起こる。
「奪われた分を奪い返そう」
皆がそれに賛同し、一人、また一人と席を立つ。
焼いた肉と香ばしいソースの匂いが部屋に立ち込める。気品ある部屋でテーブルマナーも何もない者達がそれを貪り食った。
「うめぇ、うめぇよ!!!」
「俺、生きてて良かった……」
皆の言う通りだ。こんなもの生きていて初めて食べた。だが、殺した貴族達には何てこと無い日常の食べ物だったのだろう。
そう考えると、殺したはずの貴族に、また殺意が湧いた。
腹一杯に食事を詰め込むと、フユミトが言う。
「ご飯も食べたし、お風呂でも入ろうか?」
「風呂だって? ずいぶん呑気だな……」
鉱夫が言うと、別の鉱夫もそれに便乗して言った。
「そうだよ、貴族殺しちまったんだぜ? 早く金目の物を盗んでトンズラしねぇと……」
そうだそうだと声が上がるが、フユミトは言う。
「大丈夫だよ、ナツヤの力なら普通の軍隊じゃ勝てない。それこそ勇者でもないと」
その言葉に皆が黙る。
「僕達、汗臭いよ、お風呂入っていい服に着替えよう」
フユミトはメイド達に風呂の用意をさせていた。大浴場に皆が集まる。
「おぉ、すげー!!!」
大きな風呂は湯気を放ち、見るからに気持ちよさそうだった。
「石鹸でよく体を洗ってから入ってね」
風呂に走ろうとする鉱夫をフユミトは止める。「そうだった」と鉱夫は笑った。
いい香りのする石鹸で体を洗う。汚れがひどいのか、泡が立たなかったので何度も洗った。
ナツヤはザパーンと勢いよく風呂に入った。本当に心地よい。まるで天国に来たかのようだ。
「どう、ナツヤ。気持ちいいかい?」
「あぁ、本当に、本当に気持ちいいよ」
湯から顔だけ出してナツヤは言った。
「でもさ、フユミト、俺は、俺達はこれからどうすれば良い?」
そこまで言いかけたナツヤの口にフユミトは人差し指を置いた。
「それはお風呂出た後にしよう? 今はゆっくりすればいいさ」
それもそうだなと思ったナツヤ。今だけはこの心地よさを感じていたかった。
風呂を出た皆は、上物の服へ着替えていた。そして先程、食事をした食堂へ集まる。
「皆、僕達はもう自由だ」
フユミトとナツヤはテーブルの端に立ち、そう言い放った。歓声が巻き起こる。
「奪われた分を奪い返そう」
皆がそれに賛同し、一人、また一人と席を立つ。