研究者 1
文字数 992文字
昔、王都に若い研究者が居た。彼はとても優秀だった。しかし出る杭は打たれるのが世の常だ。
「ギルドマスターに緊急の用事がある」
アシノはギルドの受付に言う。
普段だったらため息が返ってくるのだが、今回はただならぬ気迫を感じ「かしこまりました」と言うと受付嬢は奥へと引っ込んで行った。
それから数分たち、受付嬢が戻ってくる。
「お待たせ致しました、どうぞ応接室へ」
受付嬢に案内され、ギルドの応接室へと向かう。モモとユモトは少し緊張していた。扉が開かれると、ギルドマスターのトウヨウが待っていた。
アシノは簡単に昨日のキエーウによる襲撃について話をした。すると腕を組んでうーんとトウヨウは唸る。
「そうか、キエーウも本気で裏の道具を奪いに来ているか。悪かった、俺は少々事態を甘く見ていたようだ」
重苦しい空気が応接室に立ち込める。しばらくして沈黙を破ったのはアシノだった。
「そうだ、じいちゃん。これがさっきも話した探知盤だ」
そう言ってムツヤから探知盤を取り上げて机の上に乗せる。
「ムツヤによれば改良すれば遠くの裏の道具の場所までわかるらしい」
「なるほどな」
トウヨウは探知盤を手に取り、まじまじと見ていた。
「ちゃんとした研究員が居ればこの探知盤の謎も解けるかもしれませんね、例えば王都の研究員とか」
ルーが言った瞬間トウヨウの顔が険しくなる。
「ギルスか」
「そう、ギルスです」
トウヨウは額に手をおいてまた唸った。
モモは何となくギルドマスターはギルスに良い印象を持っていないことを察する。
「アイツは何度も冒険者ギルドへと勧誘したが、決して首を縦に振らん男だぞ」
ルーはウィンクをしてトウヨウに言葉を返す。
「大丈夫ですよ、研究者として裏の道具を見せつけられたら飛び付いて仲間にしてくれって懇願しますよ、きっと」
「しかし、裏の道具の存在を話した上で仲間にならないとしたらどうする? 裏の道具の存在が一般人に知られてしまう事になるぞ」
そんなトウヨウを見てまどろっこしい事が嫌いなアシノがしびれを切らして話す。
「そん時は私が脅してでも話せないようにしてやる。裏の道具は危険だ、すぐにでも回収をするべきだ」
トウヨウは横目でジロリとアシノを見ると、ふぅとため息をついて宣言をする。
「わかった、ギルスを仲間に引き入れてこい」
「任せとけじいちゃん」
アシノはニヤリと笑い、お茶を飲み干して立ち上がった。
「ギルドマスターに緊急の用事がある」
アシノはギルドの受付に言う。
普段だったらため息が返ってくるのだが、今回はただならぬ気迫を感じ「かしこまりました」と言うと受付嬢は奥へと引っ込んで行った。
それから数分たち、受付嬢が戻ってくる。
「お待たせ致しました、どうぞ応接室へ」
受付嬢に案内され、ギルドの応接室へと向かう。モモとユモトは少し緊張していた。扉が開かれると、ギルドマスターのトウヨウが待っていた。
アシノは簡単に昨日のキエーウによる襲撃について話をした。すると腕を組んでうーんとトウヨウは唸る。
「そうか、キエーウも本気で裏の道具を奪いに来ているか。悪かった、俺は少々事態を甘く見ていたようだ」
重苦しい空気が応接室に立ち込める。しばらくして沈黙を破ったのはアシノだった。
「そうだ、じいちゃん。これがさっきも話した探知盤だ」
そう言ってムツヤから探知盤を取り上げて机の上に乗せる。
「ムツヤによれば改良すれば遠くの裏の道具の場所までわかるらしい」
「なるほどな」
トウヨウは探知盤を手に取り、まじまじと見ていた。
「ちゃんとした研究員が居ればこの探知盤の謎も解けるかもしれませんね、例えば王都の研究員とか」
ルーが言った瞬間トウヨウの顔が険しくなる。
「ギルスか」
「そう、ギルスです」
トウヨウは額に手をおいてまた唸った。
モモは何となくギルドマスターはギルスに良い印象を持っていないことを察する。
「アイツは何度も冒険者ギルドへと勧誘したが、決して首を縦に振らん男だぞ」
ルーはウィンクをしてトウヨウに言葉を返す。
「大丈夫ですよ、研究者として裏の道具を見せつけられたら飛び付いて仲間にしてくれって懇願しますよ、きっと」
「しかし、裏の道具の存在を話した上で仲間にならないとしたらどうする? 裏の道具の存在が一般人に知られてしまう事になるぞ」
そんなトウヨウを見てまどろっこしい事が嫌いなアシノがしびれを切らして話す。
「そん時は私が脅してでも話せないようにしてやる。裏の道具は危険だ、すぐにでも回収をするべきだ」
トウヨウは横目でジロリとアシノを見ると、ふぅとため息をついて宣言をする。
「わかった、ギルスを仲間に引き入れてこい」
「任せとけじいちゃん」
アシノはニヤリと笑い、お茶を飲み干して立ち上がった。