サンライトレジェンド 5

文字数 1,061文字

「どこかに行っちゃったわね、猿が去るって所かしら」

「くだらないダジャレを言うな」

 アシノは呆れると同時に、皆に言う。

「もう猿を捕まえることは諦める。敵だと思って全力で破壊するぞ」

「かわいそうだけど、あまり時間も掛けてられないからしょうがないわね」

 ムツヤ達も頷いて、探知盤を見る。赤い点は移動し続けていた。

「しかしムツヤ、お前どうやって塔でアレを拾ったんだ?」

 アシノがふと疑問に思って聞いてみる。

「はい、塔では動いてなくて、魔力を込めると動くんでず」

 それを聞いてアシノは一瞬考え、まずいなと思った。

「って事は、誰かが魔力を込めたってことか?」

「もしかしてだけど、そうだとしたら魔力を込めた犯人も猿に逃げられちゃったってこと?」

 アシノとルーの会話を聞いて、ユモトも探知盤を操作しながら話す。

「なるほど、可能性はありますね」

「と言っても、魔力が切れるのが、いつになるかも分からん。その上、犯人も分からんのなら、現状は猿を壊す方向で行くしかないな」

 そろそろ猿の元へ着く、アシノはムツヤに言った。

「全力で壊すことを考えろ」

「わがりまじだ!!」

 ムツヤは詠唱をし、地面を強く踏んだ。すると、そこを中心に大地が揺れ、猿のもとまで一直線に地割れが起きて土塊の手が伸びる。

 猿は急いで口をふさぐと、手は崩れ落ちたが、そのせいで地割れから逃げられない。

 猿達は仲良く奈落の底へ落ちていき、ムツヤ達は話すことが出来るようになる。

「やっぱムツヤっちの本気はパないわ」

 地面が塞がり、猿は地中深くに埋まってしまった。

「アイツ等は魔力が切れた頃に掘り起こせば良いだろ、ラハガの村まで向かうぞ」

「安らかにお眠り、お猿さん達」

 アシノとルーは元来た方向へと歩き出し、ムツヤ達もその後をついて行った。



 中々の山道を一行は馬車で行く。街道になってはいるが、普通の馬だったら何回も休ませねばならないだろう。

「こりゃ村までまだ間に合わないな。この辺で野営でもするか」




 夜になり、結界を張り終え、さぁ寝ようかと言った時にルーが空を見上げて指差す。

「ほら、標高が高いからお星さまが綺麗よ!!!」

 皆もそれぞれ夜空を見上げた。星雲や星の川が綺麗に輝いていた。

「星が綺麗ですね」

 ムツヤがポツリと言うと、ルーはニヤリと笑う。

「ムツヤっち、そういう時は『君の方が綺麗だよ』って言うのよ」

「え、はい。ルーさんの方が綺麗ですよ」

「やーん、ムツヤっちに口説かれちゃった!!」

 ムスッとした顔をしてムツヤを見ているモモの代わりに、アシノがルーを引っ叩いて寝ることにした。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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