闇と病み 2
文字数 1,606文字
「まず作戦を考えるか」
そう言ってアシノは座ったまま腕を組む、うーんと目をつぶって10秒ほど考えた後に口を開く。
「そうだな、とりあえず前衛は私とムツヤで相手の様子見をしながら戦う。援護はルーとヨーリィに任せる」
「わがりまじだ」
「オッケー任せて」
「かしこまりました」
名前を呼ばれた3人は返事をするが、呼ばれなかったモモとユモトは気まずそうに目を伏せる。
「今回は裏の道具持ちと戦う、お前達はその年にしては強い部類だが、まだ危険だ。家で待機していてくれ」
分かってはいたが、役に立てない悔しさをモモは感じていた。ユモトもそれに近い感情だった。
「大丈夫よー、これから戦えるように毎日みっちりしごいてあげるから」
気まずい空気を壊すようにルーがおちゃらけて言うと「ははは、よろしくお願いします」とユモトが言う。
4人はそれぞれ配置に付いた。ムツヤはもう一枚探知盤を取り出してそれをアシノと眺めている。
「もう少しで来そうね」
声を送ることができる石からルーの声が聞こえた。ムツヤは抜き身の剣を握り締めて、アシノはワインボトルを両手に構える。
探知盤の赤い点が近付き、ムツヤ達の前で止まる。アシノはかすかに人の気配を感じ取った。
次の瞬間、赤い点が猛スピードで近付いてきた。2人は辺りを見渡すが草木の揺れも人影も見つけることは出来ない。
ハッとしてアシノは上を見上げる、暗がりの中なのでよくは見えなかったが、何かが空を飛んでいくのが見えた。
しまったとアシノは何かが飛んでいった方向へと走る、ムツヤも追いかけて走り出す。
「そっちに何かが飛んでいったぞ!」
石に向かってアシノは話しかけた、すぐさまルーから返事がくる。
「了解、任せて」
ルーは飛んでくる何かに備えて魔法の防御壁を張った。
ヨーリィは撃墜させる為に空を見上げている。しかしその飛んできた何かは2人の真上を飛び、2階のガラスを割って家の中へと侵入してしまった。
「まずい! 何かが家に入った!」
アシノは声を上げた、ムツヤはその割れた窓まで跳び上がり窓から家に入る。
家の中は煙で満たされていた、ドアを開けてモモとユモトの安否を確認する。
「モモさーん!! ユモトさーん!!」
返事がない、ムツヤは近くのドアを片っ端から開けて2人を探す、そんな時だ。
ドアが開くと同時に腕が伸びてきた。左腕を掴まれムツヤは部屋の中に引っ張られる。
ムツヤはバランスを崩すが右腕で持っていた剣を相手に向けた。だが、その相手は敵ではなく、よく見知った顔だ。
「モモさん!?」
ムツヤは慌てて構えていた剣を下ろすと、モモは話を始める。
「ムツヤ殿、驚かせてしまい申し訳ございません」
モモはムツヤの手をギュッと両手で握った。そしてそれを胸へと近付けて押し当てた。
「も、モモさんなにをして」
「やっと2人きりになれましたね」
モモは頬を紅潮させ、目は大きく開けて潤んでいた。心なしか息遣いも荒い気がする。
「ムツヤ殿、お慕いしております」
次の瞬間モモはムツヤを前から抱きしめていた。突然の行動に唖然とし身動きが取れないムツヤ、そのままモモはベッドに倒れ込む。
「ムツヤ殿、覚えていらっしゃいますか? 私が死のうとした時に身を挺して止めてくれたこと、村を救ってくださった事」
ムツヤはモモに覆いかぶさるような姿勢になっていた、それを気にすることもなくモモは続けて言う。
「私はムツヤ殿に恩返しがしたいと言っていました、しかしそれはただの口実だと気付いたのです。本当は大好きなムツヤ殿のお側に居たかっただけなのです」
呼吸を更に荒げながらモモは首を横に向けてムツヤから視線をそらした。
「こんな醜い私でよければどうかお慈悲を下さい、ムツヤ殿の命令であればどんな事でもします。ですからどうか……」
言い切った後にまたムツヤの目を見つめるモモ、そしてムツヤを抱き寄せてムツヤのくちびるに自分の口を重ねようとする。
そう言ってアシノは座ったまま腕を組む、うーんと目をつぶって10秒ほど考えた後に口を開く。
「そうだな、とりあえず前衛は私とムツヤで相手の様子見をしながら戦う。援護はルーとヨーリィに任せる」
「わがりまじだ」
「オッケー任せて」
「かしこまりました」
名前を呼ばれた3人は返事をするが、呼ばれなかったモモとユモトは気まずそうに目を伏せる。
「今回は裏の道具持ちと戦う、お前達はその年にしては強い部類だが、まだ危険だ。家で待機していてくれ」
分かってはいたが、役に立てない悔しさをモモは感じていた。ユモトもそれに近い感情だった。
「大丈夫よー、これから戦えるように毎日みっちりしごいてあげるから」
気まずい空気を壊すようにルーがおちゃらけて言うと「ははは、よろしくお願いします」とユモトが言う。
4人はそれぞれ配置に付いた。ムツヤはもう一枚探知盤を取り出してそれをアシノと眺めている。
「もう少しで来そうね」
声を送ることができる石からルーの声が聞こえた。ムツヤは抜き身の剣を握り締めて、アシノはワインボトルを両手に構える。
探知盤の赤い点が近付き、ムツヤ達の前で止まる。アシノはかすかに人の気配を感じ取った。
次の瞬間、赤い点が猛スピードで近付いてきた。2人は辺りを見渡すが草木の揺れも人影も見つけることは出来ない。
ハッとしてアシノは上を見上げる、暗がりの中なのでよくは見えなかったが、何かが空を飛んでいくのが見えた。
しまったとアシノは何かが飛んでいった方向へと走る、ムツヤも追いかけて走り出す。
「そっちに何かが飛んでいったぞ!」
石に向かってアシノは話しかけた、すぐさまルーから返事がくる。
「了解、任せて」
ルーは飛んでくる何かに備えて魔法の防御壁を張った。
ヨーリィは撃墜させる為に空を見上げている。しかしその飛んできた何かは2人の真上を飛び、2階のガラスを割って家の中へと侵入してしまった。
「まずい! 何かが家に入った!」
アシノは声を上げた、ムツヤはその割れた窓まで跳び上がり窓から家に入る。
家の中は煙で満たされていた、ドアを開けてモモとユモトの安否を確認する。
「モモさーん!! ユモトさーん!!」
返事がない、ムツヤは近くのドアを片っ端から開けて2人を探す、そんな時だ。
ドアが開くと同時に腕が伸びてきた。左腕を掴まれムツヤは部屋の中に引っ張られる。
ムツヤはバランスを崩すが右腕で持っていた剣を相手に向けた。だが、その相手は敵ではなく、よく見知った顔だ。
「モモさん!?」
ムツヤは慌てて構えていた剣を下ろすと、モモは話を始める。
「ムツヤ殿、驚かせてしまい申し訳ございません」
モモはムツヤの手をギュッと両手で握った。そしてそれを胸へと近付けて押し当てた。
「も、モモさんなにをして」
「やっと2人きりになれましたね」
モモは頬を紅潮させ、目は大きく開けて潤んでいた。心なしか息遣いも荒い気がする。
「ムツヤ殿、お慕いしております」
次の瞬間モモはムツヤを前から抱きしめていた。突然の行動に唖然とし身動きが取れないムツヤ、そのままモモはベッドに倒れ込む。
「ムツヤ殿、覚えていらっしゃいますか? 私が死のうとした時に身を挺して止めてくれたこと、村を救ってくださった事」
ムツヤはモモに覆いかぶさるような姿勢になっていた、それを気にすることもなくモモは続けて言う。
「私はムツヤ殿に恩返しがしたいと言っていました、しかしそれはただの口実だと気付いたのです。本当は大好きなムツヤ殿のお側に居たかっただけなのです」
呼吸を更に荒げながらモモは首を横に向けてムツヤから視線をそらした。
「こんな醜い私でよければどうかお慈悲を下さい、ムツヤ殿の命令であればどんな事でもします。ですからどうか……」
言い切った後にまたムツヤの目を見つめるモモ、そしてムツヤを抱き寄せてムツヤのくちびるに自分の口を重ねようとする。