王都の皆には内緒だよ! 2

文字数 1,119文字

「あ、どうぞこれを敷いて下さい」

 ムツヤのカバンから取り出された『ペラペラの青いじゅうたん』にサツキ達3人は座る。

 見たことも触れたこともないそれはカサカサとした触感だった。

「えーっと、どこから話したもんかな。まず私の能力について話すか」

 アシノ先輩の能力が聞ける。そう思ったサツキはドキドキとしている。

「私が今使える唯一の能力は……」

 サツキ達は真面目な顔をして生唾を飲み込んだ。

「ビンのフタをスッポーンと飛ばす能力だ」

 静寂が数秒流れる。思考が追いつかなかった。

 アシノ先輩は今なんて言った?

「あの、もう一度良いですか?」

「ビンのフタをスッポーンと飛ばす能力」

 震えた声で聞き返すとアシノはまた答える。

「あの試練の塔の最上階にはクソ女神が居てな。半分の確率で凄い能力。半分の確率でクソみたいな能力しか使えなくなると言っていてな」

「ま、まさか……」

「私は賭けに負けた」

 サツキは目の前がまっくらになった!

「ちょ、サツキ? サツキしっかりしろって!」

 クサギがブンブンとサツキの肩を揺らすも返事がない。ただの勇者のようだ。

「ですが、アシノ様はキエーウを壊滅させたと聞いていますよぉ?」

「それは、そこに居る仲間達、まぁ主にムツヤがやってくれた」

 まさかと、放心しているサツキ以外は、またムツヤの方を振り返る。

「あ、それで、青い鎧の冒険者もそいつだ」

「えぇー!?」

 クサギは大声を出してひっくり返る。カミクガも目を丸くしていた。

「ちょ、ちょっと待って下さい。理解が追いつかないです」

「それじゃあ改めて私達の自己紹介をしようかしら!! ムツヤっちと仲間になった順番で!!」

 ルーがふんっと胸を張って言う。

「えっと、私はモモと申します。故郷がキエーウのメンバーに襲われた所をムツヤ殿に救って頂きました」

「ゆ、ユモト・サンドパイルです。僕は病気で死んじゃいそうだったんですけど、ムツヤさんの裏ダンジョンの薬を貰って、この通り元気になりました」

「ヨーリィです」

 ヨーリィは短く一言しか言わなかったので、モモとルーが補足を入れた。

「ヨーリィは元マヨイギの怪物の眷属で、今はムツヤ殿から魔力を貰って生きています。ちなみに年齢は100歳以上です」

「こーんなに可愛いのに私達の大先輩なのよ!! ヨーリィちゃんちょっと体を枯れ葉にしてみて!!」

 目の前で少女の腕が枯れ葉に変わっていき、そしてまた再生する。

「ちょっ、マジパネェ!! そんなん見たこと無いんですけど!?」

 良いリアクションをするクサギにルーは大爆笑をしていた。

「そして、まぁ私とアシノの紹介は省略ね。こんな感じのメンバーでキエーウを壊滅させたのよ」

「信じられません!!」

 急にサツキはそう叫んだ。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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