キエーウ強襲戦 8
文字数 1,117文字
「ムツヤか? こっちは片付いた。すまないがもう一度キエーウの支部へ向かってくれ」
アシノは連絡石でムツヤに話した。「わがりまじだ」と返事があったので任せて問題は無いだろう。
ルーが探知盤で辺りの様子を見たが、反応はない。敵もこれ以上は居ないようだった。
モモは体中の傷も足首も回復薬で元通りになった。そして治ると同時に走ってリースの元へと向かう。
待っているのは残酷な現実だ。リースは下半身と上半身が斜めに切り分けられ、目は見開いたまま死んでいた。
その惨さにユモトは思わずまた口元を抑える。
モモは半ば無意識に2つになったリースを元に戻し回復薬を掛けようとした。
「やめろっ!! 回復薬の無駄遣いだ!!!」
黙っていたアシノに一喝されてモモはビクリとする。
「あ、アシノ…… そんなふうに言わなくても」
ルーは喋ったが、うまく言葉が見つからずまた黙り込んでしまう。
「死んだ人間は生き返らないんだ。たとえ裏の道具を使ったとしてもっ!!!」
「あっ、あっ、うぅぅぅ……」
モモは膝から崩れ落ちて泣いていた。悲しさか、悔しさか、虚しさか、それともそれら全てが混ざった感情か。涙が溢れて止まらなかった。
ムツヤはキエーウの支部を目指し風のように走っている。先程の爆風で辺りの木々は倒れ、燃えていた。
心臓がバクバクと鼓動を打っているのが分かる。人を殺めた恐怖が体を支配しそうなのが分かる。
頭を振ってそれらから逃れようとした。今は戦いに集中をしなくてはならない。
探知スキルで近付いているのは分かっていた。あと数分ほどでたどり着くだろう。
「敵襲ー!!!」
キエーウの支部である枯れたダンジョンでは蜂の巣をつついたような騒ぎだった。
弓兵と魔道士が外へ出てムツヤの強襲へ備える。
森から何かが空へ飛び出した。まるで凶悪な獣のような殺気を放つそれへ向かって一斉に矢と魔法を打ち込む。
が、それらは防御壁で弾かれてしまう。
「嘘だろ、空中で…… しかもあんな一瞬で!?」
「うるせぇ、とにかく打て打て!!!」
ここからは反撃だ、一瞬で間を詰めたムツヤがキエーウの隊員を次々殴り飛ばし、蹴り飛ばしていく。
そこからは一方的だった。暴れるムツヤに為す術もなく1人、また1人と倒されていく。
ムツヤはダンジョンの最深部へと向かっていく、そこには仮面の色が違う、多分だが、位が上の隊員が居た。
「クソッ、来るな!!」
一応男は裏の道具を持っていた。振ると刀身が長くなる剣だ。しかし、そんな小細工がムツヤに通用するはずもなく。
「グハッ!!!」
距離を詰められ、腹を殴られて気を失った。
宿敵キエーウの支部を潰したというのに、何故かムツヤの心には虚しさだけが残っていた。
アシノは連絡石でムツヤに話した。「わがりまじだ」と返事があったので任せて問題は無いだろう。
ルーが探知盤で辺りの様子を見たが、反応はない。敵もこれ以上は居ないようだった。
モモは体中の傷も足首も回復薬で元通りになった。そして治ると同時に走ってリースの元へと向かう。
待っているのは残酷な現実だ。リースは下半身と上半身が斜めに切り分けられ、目は見開いたまま死んでいた。
その惨さにユモトは思わずまた口元を抑える。
モモは半ば無意識に2つになったリースを元に戻し回復薬を掛けようとした。
「やめろっ!! 回復薬の無駄遣いだ!!!」
黙っていたアシノに一喝されてモモはビクリとする。
「あ、アシノ…… そんなふうに言わなくても」
ルーは喋ったが、うまく言葉が見つからずまた黙り込んでしまう。
「死んだ人間は生き返らないんだ。たとえ裏の道具を使ったとしてもっ!!!」
「あっ、あっ、うぅぅぅ……」
モモは膝から崩れ落ちて泣いていた。悲しさか、悔しさか、虚しさか、それともそれら全てが混ざった感情か。涙が溢れて止まらなかった。
ムツヤはキエーウの支部を目指し風のように走っている。先程の爆風で辺りの木々は倒れ、燃えていた。
心臓がバクバクと鼓動を打っているのが分かる。人を殺めた恐怖が体を支配しそうなのが分かる。
頭を振ってそれらから逃れようとした。今は戦いに集中をしなくてはならない。
探知スキルで近付いているのは分かっていた。あと数分ほどでたどり着くだろう。
「敵襲ー!!!」
キエーウの支部である枯れたダンジョンでは蜂の巣をつついたような騒ぎだった。
弓兵と魔道士が外へ出てムツヤの強襲へ備える。
森から何かが空へ飛び出した。まるで凶悪な獣のような殺気を放つそれへ向かって一斉に矢と魔法を打ち込む。
が、それらは防御壁で弾かれてしまう。
「嘘だろ、空中で…… しかもあんな一瞬で!?」
「うるせぇ、とにかく打て打て!!!」
ここからは反撃だ、一瞬で間を詰めたムツヤがキエーウの隊員を次々殴り飛ばし、蹴り飛ばしていく。
そこからは一方的だった。暴れるムツヤに為す術もなく1人、また1人と倒されていく。
ムツヤはダンジョンの最深部へと向かっていく、そこには仮面の色が違う、多分だが、位が上の隊員が居た。
「クソッ、来るな!!」
一応男は裏の道具を持っていた。振ると刀身が長くなる剣だ。しかし、そんな小細工がムツヤに通用するはずもなく。
「グハッ!!!」
距離を詰められ、腹を殴られて気を失った。
宿敵キエーウの支部を潰したというのに、何故かムツヤの心には虚しさだけが残っていた。