邪神の目覚め 3

文字数 749文字

 そして、七百年後。

 サズァンは全生物を死に導く為、禁術の準備に取り掛かる。

 結界が薄れてきて、外の様子も少し見ることが出来た。

 人類は相変わらず争い合い、不幸を生み出している。

 早くこの負の連鎖を終わらせなければ、サズァンはそう考えていた。



 それからどれだけの時が経っただろうか。サズァンは今日も外の世界を見ていた。

 遠い異国の地。戦火に巻き込まれた小さな村を眺める。

 村人は無惨にも奪われ、殺され、死体が転がっていた。

 燃え盛る村の片隅で、子供を抱いたまま事切れた親が居る。

 サズァンは泣きじゃくる赤ん坊を見ていた。

 ふと、無意識の内に手を伸ばす。

 その時、結界に裂け目が出来てまばゆい光が広がる。

 次の瞬間には、サズァンの目の前に赤ん坊が現れた。

 驚くも、宙に浮かぶ赤ん坊を抱き寄せる。

 子供をあやした事なんて無かったが、腕の中に居る内に安心したたのだろうか、すやすやと眠ってしまった。




 サズァンはタカクを呼び出す。

「お呼びですか? サズァン様」

「タカク、久しぶりね。この子を頼むわ」

「かしこまりました」

 タカクは事情を聞くこともなく、赤ん坊を預かった。

 いずれ全生物を殺すというのに、何故自分はこの様な事をしたのだろうかと、サズァンは自分自身でも不思議でならない。




 赤ん坊は大きくなり、裏ダンジョンである塔へとやって来るようになった。

 小さい頃から裏ダンジョンの物を食べて、道具に囲まれて育った子供は、そこら辺の冒険者よりも遥かに強かった。

 サズァンはそれを見守る。

 子供が裏ダンジョンで死にかけると、こっそり手を貸す事もあった。

 外の世界へ興味を持たせるように、書斎にあった本を道端に置く。

 案の定、外の世界に憧れを持った子供は、最上階へと辿り着いた。

 その後、子供は結界を抜けて旅立つ。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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