翼竜討伐 8
文字数 1,098文字
「大丈夫でしたかってお前……」
2つの翼竜の亡骸を前にアシノはそう一言。他の皆もムツヤの本気を見て言葉を失っている。
「あー、何ていうかー…… ムツヤっち本当に強いのね」
ルーは苦笑いしながら言った。そして翼竜の死体へと歩き首をツンツンと触ってみた。
「うん、死んでる。死んでるわよねそりゃ」
念の為の確認だったが、それはほとんど無意味だった。ムツヤはあっけらかんとして言う。
「えーっと、どうしますかこれ?」
「どうするって、そうねー……」
頭の回転の早いルーだったが流石に状況に頭が追いついていなかった。
「持って帰るなら切り分げでカバンに入れますけど」
「あーいやー、それしちゃうと怪しまれちゃうからギルドに連絡を入れて引き取って貰いましょう。そうだ!! 怪しまれないようにする為にほら、皆、翼竜の死体に攻撃入れて!!」
「それもそうだ」と皆で綺麗に真っ二つにされた翼竜の亡骸に攻撃を入れ、激戦があったかのように偽装工作をする。
翼竜との激戦を偽装工作した後、少し開けた場所に来て野営の準備を始めた。
被害なく依頼が達成できたのだから祝杯を上げるべきなのだろうが、昨日の夜の騒がしさが嘘のように皆、静かだった。
全力で翼竜と戦おうとしていたのに肩透かしを食らってしまったからか、ムツヤの圧倒的な強さを見たからか。あるいはその両方なのか。
「えーっと、ごはん出来ましたよ」
女性用テントでルーは黙々と探知盤を見続け、アシノは横になって天井をぼーっと見ていた。そこへユモトが声をかける。
「うん、ありがとう。ほらアシノご飯食べに行くわよ!」
ルーは無理にテンションを上げている様だった。「そうだな」と短く返事をしてアシノは立ち上がる。
男性用テントではいつも通りムツヤがヨーリィの手を握り、魔力を送っていた。
全員が焚き火を囲んで食事の準備ができるが、まるで誰か犠牲者が出たかのように静かだ。
「ほら、翼竜討伐記念に、イエーイかんぱー……い」
ルーが無理におちゃらけても気まずい空気が流れる。
ユモトとモモは昼間に見たあのムツヤと翼竜の戦いは夢で、今もその夢の中に居るのではないかと思うぐらい現実感が沸かなかった。
ヨーリィは何も気にせずに食事を食べ始めた。ムツヤは皆の態度にオドオドとしている。
「あ、あのぅ…… いや、何か皆さん大丈夫ですか?」
「い、いえ、ムツヤ殿。何もご心配召される事はありません。食事を食べましょう」
そう言ってモモはいそいそと食事を始めたが、味がよくわからない。
「なぁ、ムツヤ」
アシノがふと話し始めると全員の視線が集まった。それを見てアシノは軽く笑う。
「いや、大した話じゃないんだがな」
2つの翼竜の亡骸を前にアシノはそう一言。他の皆もムツヤの本気を見て言葉を失っている。
「あー、何ていうかー…… ムツヤっち本当に強いのね」
ルーは苦笑いしながら言った。そして翼竜の死体へと歩き首をツンツンと触ってみた。
「うん、死んでる。死んでるわよねそりゃ」
念の為の確認だったが、それはほとんど無意味だった。ムツヤはあっけらかんとして言う。
「えーっと、どうしますかこれ?」
「どうするって、そうねー……」
頭の回転の早いルーだったが流石に状況に頭が追いついていなかった。
「持って帰るなら切り分げでカバンに入れますけど」
「あーいやー、それしちゃうと怪しまれちゃうからギルドに連絡を入れて引き取って貰いましょう。そうだ!! 怪しまれないようにする為にほら、皆、翼竜の死体に攻撃入れて!!」
「それもそうだ」と皆で綺麗に真っ二つにされた翼竜の亡骸に攻撃を入れ、激戦があったかのように偽装工作をする。
翼竜との激戦を偽装工作した後、少し開けた場所に来て野営の準備を始めた。
被害なく依頼が達成できたのだから祝杯を上げるべきなのだろうが、昨日の夜の騒がしさが嘘のように皆、静かだった。
全力で翼竜と戦おうとしていたのに肩透かしを食らってしまったからか、ムツヤの圧倒的な強さを見たからか。あるいはその両方なのか。
「えーっと、ごはん出来ましたよ」
女性用テントでルーは黙々と探知盤を見続け、アシノは横になって天井をぼーっと見ていた。そこへユモトが声をかける。
「うん、ありがとう。ほらアシノご飯食べに行くわよ!」
ルーは無理にテンションを上げている様だった。「そうだな」と短く返事をしてアシノは立ち上がる。
男性用テントではいつも通りムツヤがヨーリィの手を握り、魔力を送っていた。
全員が焚き火を囲んで食事の準備ができるが、まるで誰か犠牲者が出たかのように静かだ。
「ほら、翼竜討伐記念に、イエーイかんぱー……い」
ルーが無理におちゃらけても気まずい空気が流れる。
ユモトとモモは昼間に見たあのムツヤと翼竜の戦いは夢で、今もその夢の中に居るのではないかと思うぐらい現実感が沸かなかった。
ヨーリィは何も気にせずに食事を食べ始めた。ムツヤは皆の態度にオドオドとしている。
「あ、あのぅ…… いや、何か皆さん大丈夫ですか?」
「い、いえ、ムツヤ殿。何もご心配召される事はありません。食事を食べましょう」
そう言ってモモはいそいそと食事を始めたが、味がよくわからない。
「なぁ、ムツヤ」
アシノがふと話し始めると全員の視線が集まった。それを見てアシノは軽く笑う。
「いや、大した話じゃないんだがな」