チェイサー 2

文字数 933文字

 一方でアシノとサツキはというと、門の前に兵士と共に並び、魔物を待ち構えていた。

「カミクガから連絡がありました。魔物の群れと遭遇したようです」

「そうか」

 アシノは偽装されているワインボトルに手を掛けながら言った。

 それからしばらくして、サツキの元にまた連絡が来る。

「!! 青い鎧の冒険者が出たそうです! ただいまカミクガが追跡しています」

「わかった」

 動揺を悟られないようアシノは返事をする。それと同時に千里眼を使う兵士が声を上げた。

「敵襲!!」

「やはり、遠くの敵は揺動でしたか」

「そうみたいだな」

 サツキは長剣と短剣を引き抜いて戦闘の用意をした。

「弓兵構えー!!!」

 目視できる距離まで近付くと兵隊長が号令を掛けた。ジリジリと魔物との距離が近付く。

「放てぇー!!!」

 ビュンビュンと飛ぶ矢が魔物たちを消し飛ばしていく。だが、数が多く、こちらへと向かってくるモノも多く居た。

「私が行きます、皆さん続いて下さい!!!」

 サツキが風の様に飛び出して言った。その後を兵士達が雄叫びを上げて続いていく。白兵戦の始まりだ。

 サツキは舞うように双剣で魔物の群れを散らしていく。

 後ろでは兵士達が剣や槍で魔物に応戦していた。

 アシノは何も出来ない自分がもどかしく思えたが、仕方がない。

 その最中、空を飛ぶ魔物が召喚された。大きなコウモリのようなそれは王都を目指して飛んでくる。

「まずい、王都に……」

 サツキはひとり言を言うが、目の前の敵達も無視は出来ない。

「弓兵構え、1匹も逃すな!! 放て!!!」

 兵隊長の号令と共に矢が放たれるが、それらはコウモリをすり抜けて明後日の方向へと飛んでいく。

「なっ!!!」

 兵たちに動揺が広がる。その中の1匹が急降下し、1人の兵を鋭い爪で切り裂いた。

 断末魔を上げる間もなく兵は絶命する。その様子を見て更に動揺は広がる。

「アシノ様、マジやばくないっすか!?」

 サツキの仲間である聖女クサギが言う。アシノは考えていた。物理攻撃が効かない相手には魔法攻撃がセオリーだ。

 その事は兵隊長も知っていたので、魔法兵に号令を掛けた。

「怯むな、魔法兵!! 攻撃だ!!」

 地上から炎や雷が打ち上がる。それらは確実にコウモリを捉えていた。

 しかし、また、すり抜けた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み