第89話祐君の部屋で、玉鬘談義(1)

文字数 914文字

私、吉村純子にとって、決して見逃せない状況であった。
朝、何となく人の声がすると思って、窓から外を見ると、なんと!あの「明太子女」が、私の祐君(ここは強調しておかなければならない!)と話をしているではないか!

私は、そのまま部屋を出た。

祐君はともかく、明太子女には、「名前もよく覚えていないフリ」をしてあげた。(軽いジャブだ、明太子女の目が泳いだ)

そして、祐君の顔と明太子女の顔を見た。
祐君は真面目顔だ。(うん、この顔も好き、キリッとした感じもある)
明太子女は、私を見て、あせり顔だ。(きっと、やましいことを考えていたに違いない、全くもって、けしからん!)

その祐君は真面目顔のまま、「源氏物語の玉葛」などと、マニアックなことを言う。
ふふん・・・私は、すぐに感付いた。(あの明太子女が、自分の出身地と関係が深い玉鬘をネタに、私の祐君に手を出そうとしていることが)

「ふーん・・・面白そう」(私だって、源氏物語は読んでる)(奈良桜井の長谷寺が玉葛にはキーワードになる、これは九州以上と思うよ)(それに、はい、そうですかと、引き下がれないもの)

祐君は・・・源氏好きな、祐君らしい反応だった、
「人が多い方が面白い」(まあ、源氏物語は、いろんな解釈が出来るからってことかな)

そのうえ、珈琲淹れるって言うから(祐君の珈琲も好きだ、明太子女にはもったいないけど)
私も、実家の御菓子を持って行くことにした。

祐君の「じゃあ、入ってください」は、少しビクッとした。(あれ?リーダーシップあるよ、意外・・・でも、かっこいい、もたつかない強さもあるなって)

祐君の部屋の中では、祐君に向かって、私と明太子女が並ぶ。

祐君は、サッと私たちの前に、淹れ立ての珈琲を置く。

「はい・・・珈琲入りました」
「エチオピアです」


「うわ・・・すごい・・・いい香り!」

明太子女
「これは・・・苦味、甘味、酸味が・・・絶妙で」

祐君は、大きなノートを持って来て、私たちの前に置く。
「時々、メモも必要かな、と思うので」(?と思うだけだった)(明太子女も、よくわかんない、って感じ)

で・・・そこから三人の「玉鬘談義」がはじまったけど・・・

意外な展開となってしまうのである。(あれ?って感じ)
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