第98話祐の姉、瞳は、祐を口撃する。

文字数 583文字

祐の電話の相手は、「姉の瞳」だった。

その、祐の姉、瞳は、祐の抵抗が面白くて仕方が無い。
「命令ばっかりする?は?あんたは弱虫なの」
「だから、連休には、帰って来なさい」
「どうせ弱虫の祐だもの」
「連休にご一緒する彼女なんて、できるわけがないでしょ?」
「だから、鍛えてあげるの」
「光栄と思いなさい」
と、ここまでは、スローペースの「諭し」

しかし、祐が珍しく大きな声で、「嫌」と言うので、瞳も「本気の大声」を出す。

「う・る・さ・い!」
「いいから、理屈は聞かない!」
「帰って来なさい!」
「それから、毎朝海岸10キロマラソン!」
「はい!決定!」
「何?顔も見たくない?」
「はぁ?」
「あんたね、何を言っているの?」
「弱虫のくせに!」
「泣き虫のくせに!」
「私がいないと、何もできないでしょ?」
「はぁ?できる?」
「何を思い違いしてるの?」
「う・る・さ・い!」
「帰って来なさい!」
「命令!」

祐が全く声も反論も出せないほどの、大声の「口撃」だった。
理屈も何も無い、「野生」の「暴力的な」、「口撃」が続いた。

祐は、大きな声から、小さな声に変わった。
「後で、連絡する」
「お客さんが、近くにいるの」
「恥ずかしい」

少し間があった。
「姉貴の声も聞こえているみたい」

その祐の言葉で、瞳は「ハッ」と、自分の周囲を見た。
さすがの瞳も、我が身を恥じた。

周囲の同僚、先輩、上司が、瞳を見て、笑い転げているのである。
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