第204話ライブ初演奏を前に

文字数 1,108文字

私、真由美は驚いた。
祐君が、ライブに出る、と言うのだから。
確かに、プロ並みの演奏はできると思う。
しかし、「繊細で、引っ込み思案、慎重な祐君」なのだ。

「マジ?」と聞き返したら、純子さんが手招き、そっと教えてくれた。
「ジュリアさんが勧めた、何度も」(私も、そのジュリアさんには逢いたいから・・・いいかなあ)
「それから哲夫パパも、やれと言って来たみたい」(話の次元が変わった・・・祐君は親思いかも)(哲夫大先生なら、私も逢いたい)

少し心配がある。
「アイドル化したら、どうしよう」である。

純子さんが、それにも言及。
「ジャズとクラシックにするみたい」
「軽い女の子は、聴かない」
「年齢層の高い人が多い店」(少し安心した…実際、そうだったから)

祐君に聞いてみた。
「田中朱里さんは来るの?」

祐君は、「あっ」とボケた返事。
「急に決まって、何も言っていないよ」(朱里さんが、少々可哀想だけど、祐君らしい)

そんな話をしている時に、私が純子さん以上に「強敵」と感じる「風岡春奈」から電話。
(私は、がんばってハグ程度、でも春奈さんは、それ以上を狙っている、女の直感でわかる)

祐君が春奈さんとの電話で「引いている」のは、可哀相なくらいだ。
純子さんが気をつかってフォローしないと、今回のことも、上手には伝えられなかったと思う。(私?直球女だから、春奈さんとは、ぶつかると思うし)

夜7時からの本番なので、そのライブ店で夕食。(祐君は、サンドイッチ完食した)
ジュリアさんと私は、初対面、握手とハグを交わす。
(ジュリアさん・・・見た目以上にボリュームある・・・ウェスト細いし)
(祐君は、私より先に、ジュリアさんの、「これ」を味わったのか、と思うと、悔しい)

ジュリアさんは、花のような美人。
でも、もう大人なのに、祐君にベタベタする。(不思議に憎めない)(子供顔の祐君だからかな)(祐君も、ニコニコしている)
「祐君は、日本の弟なの」
「だから、お世話したくてね」
「とにかく、もっと食べさせて、発散させたい」
「祐君、ストレスに困った顔していたから、誘ったの」(祐君は、照れた顔・・・それも可愛い)

演奏が始まる15分前から、祐君、ジュリアさんは打ち合わせ、楽譜を見ている。
二人、自然な笑顔なので、安心する。(きっと大丈夫、と思った)

純子さんも、落ち着いている。
「大丈夫、演奏中は、ジュリアさんに預けよう」
「祐君も、古文から気分転換が必要だよ」(うん、純子さんも、よく心配してくれる・・・負けないけれど)

演奏が始まる10分前、「森田哲夫パパ」が、大きな紙袋を持って入って来た。
祐君の顔が、また、輝いている。(パパっ子かも・・・彰子ママの話題の時よりは、顔が明るい)
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