第349話愛奈の急襲と提案

文字数 1,028文字

その日の夜、愛奈が、電話を掛けて来た。(愛奈も泊りたいと言い始めた)

祐は困った。
「もし、そんなことがマスコミに見つかったらどうするの?」

愛奈の声は、弾んだ。
「即、芸能界引退できて、祐ちゃんと結婚」
「最高の結末だよ、森田祐の妻」
「子役時代からの約束だもの」(これは、愛奈の誤解と、祐は主張している)
「新婚旅行は、パリがいい・・・ねえ、ホテル予約していい?」

祐は、面倒になった。
「電話切る・・・」(これで、愛奈がおさまると思った)

しかし、愛奈は強い。(最近、祐の突き放し作戦に慣れて来た)
「わかった、今からアパートに行くよ」
「うん、披露宴はえーっと・・・インペリアルホテル」
「パリでもいいかな」

祐は、困った。(突き放し作戦以外、何もなかった)
懸命に考えて、懐柔作戦に移った。
「愛奈も仕事で疲れているでしょ?」
「まずは、ゆっくり眠って、それから考えよう」
(しかし、この懐柔作戦は、下手だった)(愛奈だけでなく誰の心にも響かない)

愛奈
「ねえ、もう、スニーカー履いた」
「マネージャーが来て・・・今、車に乗った」
「首都高に乗った」

・・・約30分後、愛奈がマネージャーの吉田雅子と一緒に、祐のアパートに入って来た。

愛奈は満面の笑顔だ。
「はーい!ただいま!」

祐は、愛奈に押された。
「ただいま・・・って、僕のアパート」

愛奈は、祐に突進、強めのハグ。
「だって、妻だもの、ただいま、でいいでしょ?」
「マスコミに、発表しようよ」

祐は、愛奈の真意を探る。(愛奈が何かを考えて対面で相談したいから来たと思う)
「それはともかく、まず座って」

愛奈がニコニコして座り、祐は紅茶を淹れる。
その紅茶を一口飲んで、愛奈は話しだした。
「結婚式はお楽しみだけど、マジだけど」(祐は余計なことなので、聞いていない)
「祐君と映画撮りたい、それを考えたの」

祐は苦い顔になった。
「僕は俳優でもないよ、わかっているでしょ?」

愛奈は、真面目な顔になった。
「映像は真由美さん、音楽は祐君でどうかな」
「私一人が、何かをやる」
「イメージビデオ、映像詩みたいなもの」

祐も真面目な顔。
「愛奈のキャラでねえ・・・」
「可愛い顔、でも、子供顔だから」
「明るい雰囲気は簡単・・・」
「暗い雰囲気を出すには・・・」
「出来なくもないか・・・でも、重くならないかな」
「憂いを含んだ美少女とか」

愛奈は、祐の言葉に反応。
「いろんな場所をバックに、真由美さんの映像と祐君の音楽」
「純子さんたちにも手伝ってもらおうよ」

祐は、腕を組んで考えている。
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