第132話千歳烏山から久我山秋山邸目指して、三人は歩く

文字数 641文字

翌朝8時半、祐と純子、真由美は千歳烏山のアパートを出発。
そのまま、久我山の秋山先生の屋敷を目指して、歩く。


「隣町だから電車を使う必要はないよ」
純子は、ふんわりとした四月初めの空を見る。
「天気もいいし、散歩日和かな」
真由美は、周囲の家々を見る。
「こういう東京の住宅街を歩くのも、不思議というか、新鮮な感じ」

少し歩いて、不思議な場所に入った。

「千歳烏山には、寺町があるよ」
「関東大震災があって、浅草、築地、本所、荒川の寺が集団で移転」
「世田谷の小京都と言う人もいる」

純子は驚いている。
「ほんまや、マジにお寺さんばかりや」
真由美は、純子に身体を寄せた。
「お墓が多い、夜道は怖いかな」
純子もそれにはビビったようだ。
「あかん、それ言わんといて」
「うち、お化け嫌いや」
真由美は祐に聞く。
「祐君は、霊感はあるの?」
祐は、「え?」とポカンとした顔。
「全くないよ、そんなの」
「お化けより、姉貴の方が怖かった」

そんな話をしながら、三人は久我山に入った。


「子供の頃に伺ったような記憶がある」
「とにかく広くて立派な家」
「周りも豪邸ばかり」
純子
「そやなあ・・・外車ばかりや」
真由美
「会社の社長さんかな、みんな」

また少し歩いて、祐の目が輝いた。

「ああ、あそこかな」
「先生が家の前で立っている」

純子と真由美は緊張した。
純子
「勲章受章者のお宅に・・・あかん・・うちのような素人が・・・」
真由美は、ついに博多弁が出た。
「純子さん、足が震えて来たけん、頼みます」

祐は、何もためらわずに、秋山先生に近づいて行く。
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