第273話田中朱里は一歩ずつ作戦

文字数 1,082文字

私、田中朱里は、家康公作戦に出ることにした。
と言っても、小難しい作戦ではない。
「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥」作戦なのである。
・・・つまらん?
まあ、要するに千里の道も一歩から。
歩いて行くんだ、しっかりと♪♪・・・黄門様の歌!
って、一歩一歩、祐君に近づこうってだけ。

最初は、高飛車に出て、無残にポイされた。
でも、艱難辛苦の末に、ようやく「祐君の右隣席が指定席」にまで、成長した。

左隣は、豊満美女の純子さん。(カップで・・・私より2ランク上らしい)(少し前にムギュってしてもらった・・・天国のような、いい香りとふくよかさ・・・また・・・お願い・・・)

・・・それは、ともかく、今日の午前中の祐君は、バテバテ気味。
講義中も目を閉じている。
「どうしたの?」って聞きたいけど、恥ずかしいから、純子さんとスマホでメッセージ交換。

純子さん
「朝7時から、フルート練習、今日、ぶっつけ本番、ジュリアと村越さん、ジャンと・・・かなりアセアセ」

「それでバテたの?朝ご飯は?」
純子さん
「普通にサンドイッチ食べたよ、でも、ダメ・・・少し危ないかも」

「祐君、本番は強いタイプだよね」
純子さん
「でもさ、祐君にとって、フルートはピアノより体力使うみたい」

「愛知名物のキャラメル持っている、少しは違うかな」
純子さん
「うん!お願い!」

少し様子を見て、祐君の脇をツンツン。
祐君は、「ん?」と目を開けた。(ちょっと青い顔・・・バテ過ぎ!)
「祐君、これ」(もちろん、純子さんにも)

祐君は、キャラメルを口に入れて、表情が変わった。
「え・・・・?」
「これ・・・何?すごい」
「コクがある・・・お味噌汁みたいなキャラメル?」

純子さんも、目を丸くしている。(豊胸もブルンと揺れている)


「岡崎の、八丁味噌キャラメルだよ」

祐君は、花のような笑顔。(うわ・・・輝いた!)
「ありがとう、目が覚めた」
純子さんもニコニコ。
「ねえ、余分にあったら、演奏前と演奏後に」

私は、本当にうれしかった。(また一歩、お近づきになれた)
「大丈夫、他の演奏者の分まであるよ」(この時、名古屋の母に感謝した)

祐君
「それにしても、すごいキャラメルだね」
純子さん
「夏の熱中症予防にいいかも」
祐君
「岡崎独特だよね」
純子さん
「そうか、八丁味噌か・・・面白い」

「キャラメルもあるし、カレーもあるよ」
祐君
「カレー?どんな味になるの?」
私は、素直に白状した。
「食べたことない、なんか・・・不思議味らしいけど」
純子さんは、口を押えて笑っている。(また・・・胸がブルンブルン揺れている、見ちゃう)

・・・そんなことで、途中から三人とも、講義を全く聞いていない。
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