第294話田中朱里も気がつく  大塚教授に処分?

文字数 1,222文字

私、田中朱里は、ますます驚いた。
祐君のおじい様が、かつては京大学長、そして歴史と格式を誇る西陣の呉服屋店主だったのだから。
その上、高名な歴史学と万葉学の森田義夫さんが、叔父さん・・・名古屋の実家にも本が何冊もある。(難しいテーマを実にわかりやすく、平易な言葉で書いてある)

ただ、それはともかく、今日の祐君は、雰囲気が違う。
どこが違う?(うーん・・・けだるそうな感じ?)(それが、色っぽい・・・?)
何だろう・・・何かあったのかな(女の直感として)
でも、聞けない。(お相手は?とか・・・無理だ・・・)
純子さんではないのは、確実。(純子さんも、ソワソワ感がある)
真由美さんかなあ・・・あの人、きれいだから・・・(直球勝負で、祐君を押し倒したのかな・・・私もしたい・・・いや・・・その逆も)
でも、私たち三人には「抜け駆け禁止条約」があるので、あまり考えたくない。

・・・となると・・・ジュリアさん?
「大人で・・・スタイル抜群・・・祐君も、ジュリアさんには態度が変わるし」
「よみがえったヴィーナス、アフロディーテか・・・」
「迫られたら、祐君も危ういかなあ」

でも、私は「たとえ、そうであっても」、後に引く気は、サラサラない。
好きになったら、とことん粘り強いのが、名古屋の女なのだから。
確かに、今は純子さん、真由美さんからは、二歩も三歩も遅れている。
ジュリアにいたっては、「既成事実?」かもしれない。
しかし、めげない。
少々、負けがこんでいても、私には「鳴くまで待とう:家康公作戦」がある。
とにかく、一歩一歩祐君との距離を詰めて、関ケ原で勝って、大阪城で勝って(意味不明だ、我ながら)・・・祐君を抑え込むのだ。(早く、旦那様と言いたい、味噌カツも食べさせたい)

さて、結果として、大塚教授発の騒動は、彼のお詫び程度では、おさまらなかった。
祐君のブログ停止や、大学から追放しようとする発言が、典型的なパワハラ発言とされ、大学の中だけではない、彼の属する古今学会でも、問題になってしまったのである。(案外、足の引っ張り合いの組織のようだ)
また、平井恵子先生は文科省の大学教育に関する審議委員。
早速、文科省の担当職員に相談、文科相から直々に大学総長に内容紹介と注意が発せられた。
大学内でも早速理事会召集され、厳しい処分が検討された。

しかし、そのような厳しい情勢の中、大塚教授を救ったのは、当の祐君だった。
祐君が、「大塚教授には、教わることも多いと思います、処分などは望みません」との見解を示したのである。(周囲からは、甘いとも意見されたけれど、祐君は敵を作りたくなかったのが本音と言った)

祐君は、器が大きいのか、ただ面倒事を嫌うのか、それはわからない。
でも、私は祐君を支える女になりたい。
私が祐君を「天下人」にしたい、今回の騒動で、ますますそう思うのである。
(ジュリアさんと、何か、なんて全くどうでもいい)
(祐君の妻は、私しか考えられない・・・後で根掘り葉掘り聞くかも)
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