第297話桜田愛奈のトラブル

文字数 1,256文字

桜田愛奈とマネージャー吉田雅子、社長武田芳樹は、個室に案内されていた。

私、恵美はお店に降りて、個室の様子をさりげなく伺った。(少し声が漏れて来る)

愛奈ちゃんは、怒っている。
「嫌って言ったでしょ!水着なんて・・・そういうキャラでないもの」
マネージャー吉田雅子さんは、オロオロとした声だ。
「社長、グァムのホテルもカメラマンもキャンセルしましょう」
「こんな気持ちでは、撮影できません」

社長(私はよく知らない)武田芳樹さんは、ネチャネチャした声だ。
「そんなこと言わないでよ、愛奈ちゃん」
「もう、18歳、そろそろ、大人の写真も撮ろうよ」
「期待しているファンも多いと思うよねえ・・・」
愛奈ちゃんは、また怒る。
「私の水着で、何を期待するってこと?」
「マジにムカつく!気持ち悪い」

マネージャー吉田雅子は、必死に社長をなだめている。
「社長・・・愛奈ちゃんが、すごく嫌がっていて・・・何度も断っています」
「これ以上、迫ると、セクハラとかパワハラの話に」
ところが、社長武田芳樹さんは、全くめげない。
「はぁ?この芸能界って、何をしても売れたほうが勝ちなの」
「セクハラもパワハラも、私には、なーーーんにも関係ない」
「いい?これは社長が請けて来た仕事なの、愛奈ちゃんは、断れないの」

少し間があった。

愛奈ちゃんの泣き声が聞こえて来た。
「もう・・・いや・・・こんな会社、辞める」
「芸能界も辞める」
「もう、どうでもいい」
社長武田芳樹さんの声が変わった。(低く怖い声)
「愛奈・・・大人をなめんじゃねえ」
「契約ってもんがあるんだ、忘れんじゃねえぞ」
「社長の命令だぞ」
愛奈ちゃんは、今度は、泣き叫んだ。
「嫌って言ったら嫌!」
「もう辞める!帰る!」(椅子が動く音がした)

次の瞬間だった。

乾いた音がした。
「パチン!」

社長佐藤芳樹も、怒っている。(私も、佐藤芳樹にムカついた)
「うるせえ!」
「やるしかねえんだ!このガキ!」
「誰に育ててもらったと思ってんだ!」

「うわーーーっ」
愛奈ちゃんの泣き声が大きい。

マネージャーの吉田雅子さんが、社長の佐藤芳樹に反発している。
「暴力は辞めてください!」
「こんな女の子を殴って・・・許しませんよ!」

社長佐藤芳樹は、せせら笑っている。
「祐というガキに泣きついたらどうだ」
「愛奈のスマホの履歴を見れば、すぐにわかる」
「やはり、呼び出すかなあ・・・お前の説得に」
「どうせ、何もできんだろうけどな」

愛奈ちゃんは、泣き声でまた怒る。
「スマホの履歴を見るなんて・・・最低!下の下!」
「祐ちゃんは忙しいの!呼んじゃダメな人なの」

マネージャー吉田雅子は、また社長佐藤芳樹をなだめる。
「社長、それだけは・・・やめてください」
「一般人を巻き込まないでください」
「マスコミに知られたら、危ないですよ」

社長佐藤芳樹さんの、せせら笑う声が聞こえて来た。
「はぁ?俺は金になればいいの!マスコミが騒いでくれれば、売り上げも伸びるってな!」
「さぁて、その祐ってガキに電話差し上げようかな」

個室から、愛奈ちゃんの「やめてーーー」っと泣き叫ぶ声が聞こえて来る。
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