第185話「女子会」に抗せない祐

文字数 860文字

祐は、性格的に、女性とペラペラ語ることは、大の苦手である。(そもそも他人と、が正解かもしれない)
さて、現状では純子、真由美、春奈の、「大都会東京にある女性受けするお店:服屋さん、喫茶店、スイーツ店など」の話の果てしない(いつ終わるともわからない)時間の継続なので、ますます黙り込むことになる。

「佐々木先生の万葉集の課題はどうなったの?」
「それで集まったのでは?」
と言いかけたいけれど、そもそも「都内キラキラ散歩がしたい」と言い出したのは、祐自身だから、とても女子会を「ストップさせる勇気」などありえない。

そして、さらに「絶望的なこと」に、お米が焚き上がる香りが漂って来た。
「そういえば、おにぎりを作るとか言っていた」と思うので、女子たちの退去は、当面考えられないし、万葉集の課題は、ますます進まない。(祐は、できれば自分だけで、初稿を作りたいと考えている)

そんなことを考えていたら、突然、春奈が声をかけて来た。
「ねえ、祐君、恵比寿のロブションは入ったことあるの?」
※恵比寿ガーデンプレイス内のお城のような、高級フランス料理店。

祐は、素直に返事。
「うん、3,4回、親父と」
「都内を撮影する時に、手伝いをした」
「ランチの時もディナーの時もあった」
「シェフが親父の友達みたいで」

「女子会」の顔色が変わった。

春奈
「悔しいけれど、さすがセレブ様だ」
純子
「これからおにぎりだよ・・・お米は大事」
真由美
「しっかり食べんと、日本人の味を」

祐としては「ロブションで少し食事をしたぐらいで、どうしてそこまで?」になるけれど、話題は、すぐに変わった。

春奈のスマホに着信音。
春奈がスマホを見ると、「平井恵子」だった。
「はい、春奈です、今、祐君のアパートにいます」
「古今集の第一巻の訳は、祐君はやり終えています」
「あ・・・全巻、PCにありました」
「これから?祐君におにぎりを食べさせようと」
「はい、日本食再教育です」
「え?その後?」
「万葉集を少し・・・祐君の訳が面白いので」
「えーーー?先生も来たい?アハハ!」

変な話の展開に、祐は頭を抱えている。
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