第369話豪華なバーベキュー中に・・・不安発生

文字数 1,323文字

私は、森田祐の姉、瞳。
いつも祐にゴリラ女と言われている。
(決して、そんなことはないが)
(祐があまりにも弱いから、そう思うだけ)

・・・それはともかくとして、この伊東別荘に来たのは、祐と女子たちの「関わり」を見たかったから。
(母彰子も心配していた、間違いがあってはならないと)
結論として(私は自他ともに認める判断が早い女)、大きな問題は、確認できない。
それよりも、素晴らしく優秀な女性たちが祐の周りに集まり、祐をサポートしている。
実に、有難い限りだ。
(祐のルックス、性格の良さかな)(私には負けるけれど)
そして、祐は対応も上手だ。
(問題を起こさないように、引き気味)
(それが女子を引き付けるようだ。追いかけたくなる)

指導力を発揮するのは、古文とか音楽。
(これは得意分野だから)
まあ・・・女性にモテるのは、親父(森田哲夫)譲りと思う。
親父も、母彰子が呆れるほど、あちこちでモテる。
(危ないことはないよ)
(母は、それを承知で結婚したと言っていた)
(平安期の一夫一正妻・多妾制みたいなもの)

・・・ところがだ・・・大きな不安が発生した。

豪快バーベキューをみんなで楽しく食べている時に、祐のスマホに着信。
途端に、祐の表情が変わった。(おい!心配になる)

「はい!」
「大丈夫ですか?今から病院に?」(え・・・誰が?)
「わかりました、僕も明日から行きます」(えーーー?まだ連休は残っているよ)
「いえいえ、ごめんなさい」(何で涙顏?気になる)
「奥様もお大事に」(奥様・・・もしや?)

祐は、電話を終え、蒼い顔。
みんなに頭を下げて、状況説明。(みんなの顏も緊張した)

「秋山康先生の奥様からの電話です」
「秋山康先生が倒れた」
「自宅で書棚の上にある本を取ろうとして、脚立にのぼって」
「踏み外して、後頭部を床に打った」
「奥様は異音を聞いて、書斎に行って」
「そうしたら先生が倒れていて・・・しばらく意識がなくて」
「それで、救急車で病院に」
「一命はとりとめていて」
「すぐに危なくなる、そこまででは、ないようです」

祐の目に涙・・・言い辛そう。

「意識が、まだ、朦朧としていて」
「僕の名前を呼んでいて」

祐は、また頭を下げた。
「明日の朝、僕だけで行くよ」
「みんなは、ここに」
「無事そうだったら、戻って来る」
「平井先生にも来てもらっているみたい」

平井恵子先生の弟子、春奈もスマホで連絡を取ったようで、頷いている。

純子さんが、女子たちの顏を見た。
(こういう時は、リーダーシップだね、ありがとう)
「私たちだけ、遊んでいる気分になれないよね」
真由美さんは、キッパリ。
「無理、心配、先生も奥様も。私は病院に行く」
春奈さん
「ここには、また来たい、でも、秋山先生は今が大事」
朱里さん
「みんなで、ご夫妻を支えようよ、私はみんなで行けば、秋山先生も元気になると思うの」
愛奈も、珍しくまともな意見。
「秋山先生は、子供の頃に祐ちゃんと遊んでもらった」
「私にとっても大先生で、おじい様、お見舞いしたい」

祐は、芳江さんに、頭を下げた。
「中途半端でごめんなさい、明日の朝、ここを出ます」

芳江さんは、祐をギュッと抱いた。
「心配ないよ、祐ちゃん」
「秋山先生の手を握ってあげて、それが祐ちゃんの役目」

祐は、静かに頷いていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み