第307話フルート修理完了 即席コンサート①

文字数 1,459文字

翌日の午前、銀座の楽器店から、「フルート修理完了しました」の連絡が、祐君のスマホに入った。
祐君が、放課後に受け取りに行く、と言うので、私純子と田中朱里は同行した。(もちろん、無理やりだ、ひと時も祐君を手離さない、祐君は時々危ないから)

渋谷で銀座線に乗り換えた。(新宿で丸の内線もあるらしい・・・田舎者なので、私と田中朱里は、おまかせ・・・何のための付添か、わからん・・・お荷物かな)

その途中、祐君がポツリ。
「オーケストラ部、なんとかしたいなあと」
私は、首を傾げた。
「被害者は祐君なのに?」
田中朱里も、「え?」と驚いた顔。
「いまだに、SNSでは批判が多いよ」
祐君は、真面目顔。
「確かに、ホルンの彼の暴行とか、顧問の傲慢は嫌」
「でも、真面目にオーケストラしたい人もあるよね」
「全く事件に関与していない人も多いはず」

「まあ・・・それは、そうやな」
田中朱里
「SNSを気にし過ぎかな、日本人って」
祐君は、頷いた。
「他人から言われると・・・批判されると、すぐにへこむ」
「特に、外国人、テレビに出る芸能人に弱い」

「ほんまやな、反論も何もせんし」
田中朱里
「自分を殺す、へりくだる文化かも」
祐君
「それは、あなたの意見で、私には私の意見がある・・・そういう反論ができない」

そんな真面目な話をしながら、銀座に到着。(私と田中朱里は、すぐにハイテンションに切り替わった)

「うわーーー!花の銀座や!」(当たり前すぎて、恥ずかしい・・・)
田中朱里
「ここに立っただけで、感動する、胸のつかえが、スッと消える」(少し気になる・・・田中朱里の胸は・・・アップした?揺れているし)

祐君は、スタスタと歩く。
ただ、太り気味を自覚する私と田中朱里を、何気なく刺激する。
「虎屋もいいなあ」(う・・・あんみつ食べたい)
「資生堂パーラーも」(オムライスかな・・・ケーキも捨てがたい)
「ミルキーの店もある」(甘い誘惑は、もう・・・やめて!)
「糖分補給するかな」(それだったら、ライブバーのご飯をせめて、普通盛りに!)
「恵美ちゃんが言っていたクリームたっぷりのお店はどこかな」(・・・どこ?結局探している)

祐君は、そんな私たちの糖分補給願望を、全く無視。(だったら、言わなければいいのに)
そのまま、楽器店に入った。
管楽器内場のきれいなお姉さんが、祐君を見て顏を赤らめた。(こら!見過ぎ!今度から拝観料金取ろうかな・・・ほんまに)
「森田祐様ですね、お待ちしておりました」
「こちらでございます」(・・・さりげなく、近づいているし・・・罰金取るよ!)

祐君は、フルートを取り出して、修理箇所を確認。
「ありがとうございました」と可愛い笑顔。(ほんま・・・他の女には、見せとうない)
支払いを済ませて、「試奏しても?」と、聞いている。(そやな、吹かんと・・・本当の修理確認にならん)

管楽器売り場のきれいなお姉さんは、また赤い顔。
「はい・・・ご案内します」(それにかこつけて、手を握らんように!)

防音スタジオに入って祐君。
少しウォーミングアップをして、モーツァルトを少し吹く。(実に美しい!)
それで、気が済んだので、防音スタジオを出ると、思いがけない人が立っていた。

祐君の恩師の中村雅代さんだ。(それと田中朱里とは、遠縁になるらしい)
「祐君、私、ピアノ弾くから、何か吹いて」
祐君は、笑顔。(最近、積極性が出ている)
「はい、先生のピアノなら安心します」

楽器店の配慮も準備も手早かった。
あっという間に、小さなステージが作られている。(フルートを修理で持ち込んだ時は、氷対応だったのに)
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