第134話秋山先生のお宅にて(1)

文字数 905文字

「おはようございます」
私、真由美が初めて聞く、祐君の少し高めの声。(なかなか。きれいな声だ)(いつものボソボソ、たどたどしい感じとは違う)

祐君は、秋山先生に御挨拶、握手までしている。
そのまま、私たちも紹介してくれた。
「昨晩、お話した吉村さんと、菊池さんです」
「僕の付添、ということで」

秋山先生は、相好を崩した。(すごく柔らかくて、上品な笑顔)
「秋山です、今日はよろしく」
「二人とも、祐君のファンかな?」

純子さんは、にっこり。
「吉村です、はい、祐君の、大ファンです」(すごくストレートだ、負けそう・・・負けないけど)

「菊池です、同じく」(どうも私は、言葉が短い・・・)

その後、秋山先生の立派なお宅の中に。
昔風の洋館、なかなか広い、沈香が焚いてある。

通された部屋は、10畳間くらいの洋室。
真ん中に、大きな民芸風のテーブル、椅子も立派な民芸風。

壁は、一面、本棚になっている。
とにかくぎっしり詰まっている。
やはり源氏物語関係が多い。
それに交じって、古事記、日本書記の注釈書。
白楽天の文集、注釈書も何冊か。(多過ぎて、見切れない!)

ただ、そんなキョロキョロばかりはしていられない。
秋山先生が、祐君に話し始めた。
「今日は。来てくれてありがとう」
「本当にうれしいよ、孫を迎えるみたいで」

祐君は、ふわっとした笑顔(可愛い!)。
「いえいえ、お久しぶりで、すごく光栄です」

部屋のドアが開いて、奥様だろうか、妙齢の上品な女性が入って来た。
しぐさも上品に紅茶を配る。
「祐君、それから吉村さん、菊池さん」
「秋山の我がままにお付き合いをいただいて」(でも、奥様は、可愛らしいウィンクをする)

祐君は、また可愛い笑顔。
「祐です、お久しぶりです、お元気そうで」

奥様の顔が。パッと輝いた。
「祐君・・・ますますいい感じね」
「今日は、お母様ではなくて、両手に花?」

祐君は、慌てて、首を横に振る。
「いえ・・・僕があまりにも頼りないからって・・・付添です」(その慌て顔も可愛い、後でツンツンしたくなった)

奥様は、長居をしない。
クスッと祐君を見て、姿を消した。

「さて・・・」
秋山先生が、少し真面目な顔で、祐君を見た。
ようやく、「今日の本題」に入るようだ。
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