第214話江戸探訪②三人で浅草散歩①

文字数 1,284文字

とにかく地味な奈良元興寺町に育った私、純子は、浅草のド派手な大きな提灯を見た瞬間、「感動した」、そして「これでうちも花の東京人や!」で、もうハイテンション。
・・・明太子女も似たようなもんや、顔を赤くして、写真を撮りまくっとるし。
(祐君とのスリーショットは数枚は当然、ツーショットはキッチリ枚数合わせたけどな、それはお付き合いでしゃあない、明太子女とのツーショットは、二人ともおメメパッチリや、競い合っとるしな)

ただ、大提灯の前で騒ぎしすぎることも、それは恥ずかしい。(おのぼりさん、そのものやから)
だから、スッといつもの上品な(笑うな!そこで!)私たちに戻って、浅草寺の観音様に敬虔なお祈りを(もちろん、祐君とのラブラブや、他にはいらんし)しようと、スタスタ歩こう・・・そう思ったんや・・・でもな・・・祐君の小悪魔が復活したんや・・・ほんまに小悪魔や・・・

「人形焼き、いい香り・・・焼き立ては美味しい」
「うん、あの店の濡れせんべいは、しっとりとして、お醤油もいい感じ」
「揚げ饅頭も名物、2、3個食べる人もいますよ」
・・・・

あまりの小悪魔ぶりに、私と明太子女は、相談した。
「ねえ、ここではしかたない、食べよう、せっかくだから」
明太子女
「勧め上手だよね、営業向き?」
「でも、夜は軽いものにしましょう」
(結局、その口約束は、あっさりと破られることになるが・・・)

結局、勧められるままに(見るがままにもある)、数種類を食べ(まあ、立ち食い女や、でも、立ち食いの美味しさもある!ここで自己弁護)、ようやく浅草観音が見えて来た。

で・・・おみくじや・・・
両方とも、「中吉」
祐君は、引かなかった。(誰かと電話していた)
聞いたら、彰子ママとのこと。(おそらく秋山先生との話、あまり機嫌が良くないので、お叱りでも受けたのかな)

ようやく浅草観音様に手を合わせた。(もちろん、末永い祐君とのラブラブ生活を祈るのだ)

浅草神社も参拝したので、寄席の聖地「演芸ホール」を目指すことになった。
途中、小ぶりな店が並び、飲み屋さん(露天もある)が並んでいる。

祐君
「もつ煮が美味しいとか」
明太子女
「入ったことあるの?」
祐君
「まさか・・・姉貴はあるみたい」
「ビール5杯飲んだって、威張っていた」

「酒豪・・・すごいね」
祐君
「いや・・・節操がないだけ・・・大声で騒いで、下品」
「元気だけが取り柄」

少し歩くと、左手に演芸ホールが見えて来た。
祐君は、出演者も何も見ないで、チケットを買う。
「日曜日の午後で混んでいるかも」
「モタモタできない、入れ替えもないから」

それでも、3人で入って行くと、親切にも、席を開けてくれた。
祐君を真ん中に並んで座る。

ステージの上では講談!
若くて可愛い女の子が、ピンクの着物で名調子。
「源平盛衰記」らしい。
見たことも聞いたことも、なかったけれど、そのまま引き込まれた。
話が上手だなあ・・・面白い、飽きない、と思うし、この人と比べて、今のテレビ芸人の芸の低さを思う。

祐君が一言。
「プロの芸かな、声の張りもいい、何より華やか」

明太子女も、面白いようだ、その目をキラキラさせて夢中になっている。
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