第206話春奈も祐とジュリアの演奏で魅了される。

文字数 1,435文字

私、風岡春奈が、ライブバーに入ったのは、祐君と「ものすごいブロンド美女」のデュオが始まる直前。(純子と真由美・・・それから憧れの森田哲夫さんが見えたけれど、その席まで行く余裕がない!)

客層は、主に中高年。(でも、みな、上品でお洒落)(これなら、お子ちゃま祐君でも、OKかな、と思う)
席がほぼ埋まっていたので、カウンター席に座った。(マスターも渋い・・・大人)

祐君に視線を向けた。(でも、ブロンド美女と楽譜しか見ていない)(でも、下手に視線を合わせて、混乱もさせたくないし・・・すぐに祐君は私を怖がるし・・・そんなつもりはないのに)

一曲目は「ムーランルージュの歌」だ。
甘く切ないメロディで、うっとりになる。(祐君のピアノもいい感じ、落ち着いて、ヴァイオリンを支える・・・って・・・祐君のソロも、甘い感じで・・・いいなあ・・・)

曲が終わると、マスターが出てきて、二人を紹介。
「ジュリアと祐君の演奏です」
「ジュリアは、フランス人、現在、東都フィルハーモニー管弦楽団で活躍を始めました」
ジュリアも自己紹介。
「ジュリアです、今日は祐君と一緒に、すごく楽しみに・・・」

大きな拍手のなか、祐君を手招き。
マスターは祐君も紹介する。
「森田祐君です、本日お越しの、世界に誇る大写真家森田哲夫さん、それから源氏物語、万葉集の大家の森田彰子さんのご長男」
「この4月から、この近くの大学に」

祐君も大拍手の中、自己紹介。
「森田祐です、アマチュアですが、いい演奏をしたいなと、よろしくお願いいたします」
(頬を赤くして可愛い!・・・良く言えた・・・ほめてあげる)

二曲目は、モーツァルトのヴァイオリンソナタ。
天使二人の演奏だった。
音、メロディすべてが宝石・・・うっとりだ。(祐君の底知れない才能に嫉妬?でも天使に昇格しているから・・・お持ち帰りして、天使とラブラブになりたい・・・それは変わらない、抱いて寝たい)

モーツァルトが終わった時点で、森田哲夫さんは、あっさり帰る雰囲気。
祐君と少し話をしている。
聞き取れないけれど、祐君の「え?マジ?あの姉貴に?」だけが聞き取れた。

それでも森田哲夫さんは、聴衆の拍手には、少し挨拶。
「森田哲夫、そして息子の祐です、まだまだですが、ご指導お願いします」
「妻が、邪魔しないで帰って来いと怒るので、帰ります」
など、軽いジョークを交えて帰ってしまった。

さて、祐君とジュリアの演奏は、続いた。
名曲の「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ピアノ伴奏版」だった。
誰でも知っている名曲ではあるけれど、目の前で聴くと、また新鮮。
祐君も完璧、ジュリアさんも顔を紅潮させて、名演。(マジに、聞き惚れた)
その演奏も無事、大きな拍手を受けて終わった。

私は、小走りに、祐君とジュリアの前に。(純子と真由美には、義理で軽く会釈のみ)
「凄い演奏・・・ありがとう」

祐君は、ジュリアさんに私を紹介。
「風岡春奈さん、古文の研究の先輩、アルバイトの仲間でもあります」

ジュリアさんは、満面の笑顔。
「あらー・・・きれいな人、私の祐をよろしくね!」と、力強いハグ。(その胸の圧力に・・・負けました・・・いい感じです)

その後は、ジュリアさんも入って、いろんな話。(主にパリの話、時々音楽の話も混じる)
そこで感じたのは、祐君の自然な笑顔。(あまり見たことはない・・・古文の時とは違う)

祐君は、「古文がそれほど好きではないかも」そう感じてしまったほど。
(そうかといって、他の分野には、進ませたくない人ではあるけれど)
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