第100話祐君は、やはり不安なようだ。

文字数 790文字

私、菊池真由美が見る限り、祐君は少しずつ、回復した。
「コテンパン」に怒られた言っても、やはり姉と弟かな、と思う。
それと、祐君のお姉さんにも会ってみたい、そんな気持ちも芽生えている。

さて、それはともかく、祐君が選んだお菓子は、干菓子と、金平糖だった。

純子さんは、うんうん、と納得した様子。
「お饅頭とか、おせんべいより、品がいいね」
私も同感だった。
「ビニールを破く音がうるさいよね」

祐君は「うん」と、少し笑う。(・・・その顔が、ドキッとするほど可愛い、せつないくらいに綺麗な顔だ)

アパートが見えて来た。
純子さん
「私たちは、大先生に邪魔かな?」

「お逢いしたいけれど・・・」

祐君は、少し考えた。
「まずは、僕が平井先生の話を聞きます」
「何を頼んで来るのか、何の勉強が必要なのか」
「それが、はっきりしないと、話が進まない」

純子さんは、少し粘る。
「何かあったら、すぐに連絡してね、部屋で待っている」
「おそらく、本を作るって、すごく大変と思うから」

私も、同じようなことを言う。
「部屋にいるよ、協力できることがあれば、喜んでやるから」

祐君は、うれしいような恥ずかしいような、笑顔。
「助かります」

しかし、すぐに顔を曇らせる。
「姉貴にも言わないと」
「本当に生まれつき、ノー天気で、元気で明るいだけが取り柄で」


私は、そんな祐君を見て、感じたことがある。
まず、平井先生との仕事に、「かなりの重圧を感じていること」、それと、「強いお姉さん」への「困難で面倒な対応」を不安に感じていること。

純子さんが、祐君の背中を、トントンとする。(う…先を越された)
「先生との仕事で不安な時に、お姉さんに?」

祐君は素直だ。
「うん」(それしか言わない・・・)

時計を見ると、既に午後2時近く。
祐君は、ペコリと頭を下げて、自分の部屋に入った。(少し不安気な顔だった)

私と純子さんも、不安を抱えながら、それぞれ自分の部屋に入った。
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