第75話恵美と美咲の堂々巡り

文字数 863文字

恵美は、美咲に泣きつかれていた。

美咲
「健治が、水泳部の京子も彼女で」
「そのうえ、体操部の梨沙とも付き合っているって・・・」
「私、また、馬鹿にされたみたい」

恵美
「知らないわよ、そんなこと」
「美咲は祐君でなくて、健治が好きってことなんでしょ?」
「だから、そんなことを気にするんでしょ?」

美咲は涙声。
「違うわよ!健治なんて、大嫌い!」
「しつこいし、付き合わないと家の前で騒ぐって言ったから、一回少し付き合っただけ!」
「本当に心がときめくのは、祐さんだけ」

恵美
「ふーん・・・」

美咲
「何よ、その、ふーんって・・・意味わかんない!」

恵美は、いきなりキレ気味。
「健治とカラオケに行って、肩組んで楽しそうに歌って?」
「それで、本命は祐ちゃん?」
「馬鹿にしないでよ!」

美咲は慌てた。
「あれは・・・歌のはずみで・・・仕方なくて・・・」
「健治に気はないよ」

恵美
「そう?」
「だったら、なんで健治の二股?三股を気にするの?」

美咲は口ごもる。
「だって・・・そういうのも気に入らないもの」
「あれほどベタベタ迫っておいて、いつの間にか京子とか梨沙とか」
「じゃあ、私は何?ってなるでしょう」

恵美
「あのさ、健治って、俺様思考なの」
「それも、学園内限りでさ」
「野球部のエースを鼻にかけて」
「女はすべて自分のモノって思っている、お馬鹿さん」

美咲
「うん・・・そうかも」

恵美
「でもね、そうだからといって、美咲は祐ちゃんに合わない」
「だから、面会禁止」

美咲
「だから、それ、何?」
「じゃあ、どういう人が、祐さんに合うの?」

恵美は、純子を思い浮かべた。
「心が広くて、落ち着いていて、祐ちゃんをしっかり包み込める人」
「祐ちゃんは、まだまだ、心の傷は癒えていない」
「もっと明るかったもの、弾けるような笑顔でね、キラキラして」
「今は・・・曇っている」

美咲の声が沈んだ。
「私だと、私が甘えちゃうかな・・・負担になるのかな」

恵美
「それ以前に、健治とのカラオケの一件で、失格」

美咲は涙声。
「・・・もう・・・それを 言わないでよ・・・」

恵美と美咲の会話は、またしても、堂々巡りに陥っている。
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