第183話春奈に向かって、純子と真由美が

文字数 807文字

私、風岡春奈としては、祐君とだけ、「親密にお話」をしたかった。(マジに本音)
隣の純子と真由美が、本当に邪魔!と思うけれど、下手にトラブルを起こして、祐君を困らせても困る、純子と真由美は、平井先生との仕事でも同僚・・・そんなことで、どうにもならなかった。

さて、祐君の古今和歌集の全現代語訳は、「今すぐにでも見たい」と思ったけれど、祐君はその気はないようだ。
・・・というか、少しよそよそしい感じ。
「あの、春奈さん、他に用件とは?」
可愛い顔をして、(実は、もう帰って欲しい)の雰囲気なのだ。

だから、聞いてみた。
「え?この後、祐君は用事あるの?」
「一緒にみんなで、お食事でも行こうかと」(栄養のあるものを食べさせたいなあと・・・ついでに餌付けしたい!)

ところが、祐君も純子も真由美も、反応が薄い。(え?この先輩の私が誘っているのに?)
それでも、祐君が応えた。
「あの・・・大学の先生に宿題を出されていて、三人で見ようかなと話し合ったので」

純子
「議論になりそうなので、おにぎりと、お味噌汁、ポテトサラダを作ろうかなと」

それでも真由美が、具体的なことを言った。
「万葉集の先生からお願いされたみたいで、第一巻です」

私は、驚いた。
「秋山先生と吉村先生の件は、聞いた」
「また、増えたの?」

祐君は、少し苦しそうな顔。
「万葉集の二人は、母の弟子で、僕も子供の頃から深い付き合いで」
「断れない、まして佐々木先生は、同じ大学で講義も受けるので」
「その佐々木先生の社会人講座のお手伝いです」

私は、その「お願い」を知りたくなった。(実は、私も万葉集は好きなのだ)
「ねえ、祐君、その万葉集の第一巻って・・・例の?あれから?」

祐君が「はい」と微笑む。(まあ・・・天使さん?可愛い・・・ムギュしたいよーーー)
ただ、その私の「アヤシイ思い」を、純子と真由美が打ち砕いた。

何と二人で目を合わせ、
「こもよ みこ持ち ふくしもよ ~」と始めてしまったのだから。
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