第45話祐君とドキドキのお昼

文字数 1,000文字

私、純子は、とにかく祐君が心配だった。
母のように「根掘り葉掘り」は聞きたくないけれど、祐君が「何故、静岡から遠く離れた奈良で一か月以上もホテル住まいをしたのか」と「奈良女子大の若い女の先生との関係」の「一端」でも、聞き出したかったのである。

祐君は、すぐにドアを開けてくれた。(恥ずかしそうに、はにかんだ顔が可愛い!)

「純子さん、昨日の夜と朝はありがとうございます」(祐君の顔が赤い、ブチュってキスしたいくらいに可愛い!・・・って肉食系か、私は)

「お昼も一緒に、どう?食欲ある?」(実はお昼を持参!!)

「えっと・・・朝よりはあるような・・・」(祐君は素直な顔)
「あ・・・どうぞ、お茶淹れます」(え?淹れてくれるの?マジ?)

祐君は、すぐにお茶を淹れてくれた。
それも本格的。
急須に入れる茶葉の量、蒸らし、しっかりとていねいだ(私の大雑把とは違う、さすが静岡育ちだ、こんな祐君の姿を実家の母に見せれば、どれほど喜ぶことか)

「お待たせしました」(その言い方が、たどたどしくて、可愛いなあ・・・)

「ありがとう・・・すごいホッとする香り・・・」
一口飲んで驚いた。
「祐君・・・マジに美味しい、どうして?」

「うーん・・・茶葉かな、川根の玉露を使いました」
「香りと甘味、深みが違うはず」
「あ・・・上手に淹れる人は、もっと上手です」

「いや・・・本当に美味しい」
「母より美味しい」(ここで自分が下手を言わないのが、姑息かも)

「それでね、祐君」(私はお弁当を開けた、メチャドキドキした)

「え?あ!柿の葉寿司ですか?」(祐君は顔がパッと明るくなった)

「えへへ・・・好きなの?」(えへへは・・・下心が丸見え)

「静岡のお茶と、奈良の柿の葉寿司・・・いい感じですね」(うわ!これには参った、当たり前の言葉だけど・・・祐君と私が、いい感じ・・・マジに肉食系になりそう!)

「いただきます・・・美味しい・・・生き返る」(これはうれしかった、特に生き返るが、私の心に沁みた)

「ありがとう、美味しいって喜んでくれて」

「純子さん、助かりました、まさか柿の葉寿司が食べられるなんて」(祐君の目はキラキラとしている、吸い込まれそう・・・・いや、吸い込まれたい)

もうこうなると、「難しい話」を言い出しづらい。
(しばらくの間)私は、顔を赤らめて、川根の玉露を飲みながら柿の葉寿司を食べるだけの女となってしまった。(祐君が目の前にいるだけで、幸せなのだ!)
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