第55話祐と純子の横浜デート(2)

文字数 671文字

とにかく街も人も古い奈良町で育った私、純子にとって、大都会東京とか、横浜は「超!憧れの地」である。

もちろん、奈良の近くにも、京都、大阪、神戸はある。
しかし、京都は寺社ばかりで、人間まで陰気臭いし、言葉に裏があるから好きになれない。
大阪は、「何でもかんでも、派手で、無理やりの笑いを求める」から、すぐに疲れて、飽きた。
神戸は、怖い人々が多くて、簡単に絡まれそうな感じ(実際、友人が酷い怖い目に遭った)で、足が遠のいた。

そんなこんなで、そういう「しがらみが何もない」関東の地は、私にとって、天国のようなところ。
しかも、今日は可愛い祐君と一緒に横浜元町デートだ。
心が浮き立たないわけがない。

「ねえ、祐君、お昼は何を食べたい?」
などと、渋谷行きの井の頭線で、そんなことを言うのだから。(言って恥ずかしかった!)

祐君は、クスッと笑う。(そのはにかんだ笑顔の可愛いこと!)
「元町で食べてもいいですし、中華街も近いので)

「そうね・・・中華・・・うーん・・・行きたい!中華街歩きたい!」(まるで、私は子供・・・)

「中華街でいろんなお茶の茶葉を買うのも、面白いかな」

「ほお・・・詳しいの?」

「まあ・・・静岡育ちで」(そうか・・・お茶の本場だった)

井の頭線は、渋谷に着いた。(メチャ、雑踏!)
そこで、私の顔が真っ赤になることが起こった。

「純子さん」
祐君が、すっと私の手を握った。
私が雑踏の中で迷子にならないための、配慮と思う。

「ありがとう・・・」
そこまでは言えた。

でも、祐君の手が「ジンワリ」と、いい感じ。
私は・・・危ないくらいに、トロトロと溶け始めてしまった。
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