第236話祐の否定的見解 真由美の提案は?

文字数 1,056文字

祐は少し考えて発言。
「イメージは天平時代まつりと、京都の時代まつり?」
愛奈が真っ先に反応。
「古代の服を、着て見たいなあとは思っていた」

純子が説明。
「例の万葉集の本とか、古今集で、どうかなと」
「モデル料をそれで聞いたの」

祐は、否定的な見解。
「すごく売れる本なら、愛奈さんをモデルとして使っても、採算が合う」
「でも、古今と万葉で、それは無理」
「どれほど訳を上手に作っても、そこまでは売れない」
「それと、もしモデルとして本に入った場合、愛奈さんのイメージの方が強くなる」
「愛奈さんがメインで、万葉と古今の歌が、添え物みたいに」

真由美と朱里は、肩を落とした。
真由美
「短慮や・・・いかん・・・祐君が正解」
朱里
「確かに、採算も合わず、本のイメージも狂うか」

純子も、祐の意見に、悔しいけれど、納得した。
純子
「愛奈さんがモデルなら売れるかな、程度で・・・祐君、ごめんなさい」

愛奈は考え込む。
「私は、やってみたい」
「でも、会社はダメかな」

ただ、マネージャーの吉田雅子は、別の意見。
「採算はスポンサー次第と思う」

祐は、その意見も否定した。
「まだ、話が早過ぎます」
「原稿そのものが出来ていないのに、スポンサーとか高額なモデルとか」
「僕が書きたいのは、古今と万葉の新訳」
そこまで言って、愛奈に頭を下げた。
「愛奈さんの責任でない、とても、その段階ではない、ということ、ごめんね」

愛奈は、涙目になった。
「私、モデルしたいよ、ダメなの?」
「お金も、会社も、どうでもいい」

祐は、その愛奈の頭をなでた。
「気持ちは、うれしい」
「でも、たくさんの大人が入って、その人たちの生活もかかる話」
「また、別の話にしようよ」
「難し過ぎると思う」

少し揉める祐と愛奈に、真由美が割って入った。
「動画サイトを使ってみない?」

全員が注目する中で、真由美は説明を始めた。
「モデルは、愛奈さん」
「映像は私」
「音楽は、祐君」
「テロップで、和歌」
「本に関係しても、しなくてもいいかな」

祐は、目を閉じた。
「例えば、琵琶湖の美しい夕暮れ」
「愛奈さんが、古代の女官の服を着てたたずむ」
「音楽は、ゆったりとした哀調のあるもの」
「近江の海 汝が鳴けば 心もしのに 古思ほゆ・・・人麻呂をテロップに」
「そんな感じ?」

マネージャー吉田雅子は、胸を抑えた。
「いい感じ・・・うん・・・」

純子、真由美、朱里は一斉にクールサイン。
愛奈は、祐の肩に寄り添った。

ところが、祐は「あっ」と、恥ずかしそうな顔。
「この人麻呂の歌、現代語訳いらないかも」

ただ、動画サイトUPの話は、進むような感じになっている。
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