第305話祐はライブバー出演に積極的になった

文字数 1,264文字

祐は、放課後にライブバーのマスターと話をしている。
(マスターの呼び出しに祐が応じた)(もちろん、純子、田中朱里も同席)(真由美も気になって美大から駆け付けた)

マスターは、そんな状況に苦笑しながら、祐に話を切り出した。
「祐君も忙しいだろうけどさ」

祐は神妙に「はい」と頷く。

マスター
「祐君に定期的に出てもらいたいなあと」
祐は引き気味。
「素人ですし、ジュリアたちとの余興です」

マスターは、首を横に振った。
「俺は、プロとか音大とか、経歴は気にしない」
「パフォーマンスがいいかどうかだよ」
「事実、祐君は、腕自慢のプロ以上だ」
「人気も高い、共演希望も多いよ」
祐は、それでも引き気味。
「あくまでも余芸で、それ以上は、無理です」

マスターは粘った。
「古文もいいけれど、身体を使った、そういうパフォーマンスがいいよ」
「机に向かっているだけでは・・・若いんだから」
「ねえ、頼むよ」
祐は、少し笑った。(心が動いた)
「確かに、古文ばかりは・・・とは思っていました」

マスターは、ホッとした顔。
「週一か隔週でもいい、お願いできないかな」
「デュオでも、コンボでもソロでも」
「それは、祐君と共演者のスケジュールしだいで、ジャンルも曲も変わる」
祐は、手帳を見た。
「連休明け、葵祭の後に、もう一度相談でいいでしょうか」
(祐としては、少し間を置きたいと考えた)

マスターも、ライブバーの予定表を見た。
「もし、祐君が連休に都内に残るなら・・・」
「一度、今月末に出てもらいたいなあと」
祐は、もう少し内容を聞きたかった。
「あの・・・具体的には?」

マスターは、含み笑い。
「ジャズボーカルの宵なんだけれどね」
「そこに出たがっている女が嫌なんだ、実は」
「歌に癖があり過ぎて、自分だけが上手いと、自信過剰」
祐は、クスッと笑った。
「いますね、そういう人、有名歌手の変な癖を真似て、それがいい、と勘違い」
「歌も音楽も殺している人」

マスター
「伊東の芳江さんから聞いているよ、祐君は歌も好きとか」
祐は、「はい」と素直。
「上手いかどうかは、他人の判断」
「でも、僕は嫌いではないです」

マスターは、祐の目を見た。
「歌って欲しいとリクエストされたら?」
祐は、ようやく積極的。
「知っている歌なら、歌います」

マスターはたたみかけた。
「今月の末に頼みたい」
「自信過剰女はキャンセルする」
「他には、プロのギタリストとピアニスト、腕と性格は俺が保証する」
祐は、しっかりと頷いた。
「何とか、期待に応えられるようにします」

その後、ステーキまでご馳走になり、祐の一行は、ライブバーを後にした。

真由美
「祐君、途中から積極的になったね」

「確かにね、そうかなあ・・・でも、マスターのお願いって、断れない」
純子
「祐君、歌上手いよね、楽しみ」

「練習して帰るかな、発声練習もしておかないと、持たない」

朱里は女子二人に目配せ。
「スタジオの近くに美味しいケーキ屋さんありましたよね」
純子と真由美は、朱里にクールサイン。

祐は、「ステーキの後にケーキ?」と、笑っている。
(確かに、女子三人の下半身の成長は・・・ノーコメントにします)
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