第366話伊東合宿⑩瞳は、女子たちに感謝

文字数 1,327文字

一転、大ピンチに陥った姉瞳を救ったのは女子たちだった。
(すすっと、姉瞳を取り囲んだ)

春奈は、キレキレに迫る。
「静岡県の広報誌だから、観光案内のようなものですか?」
瞳が、珍しく押された。
「あ・・・うん、今回は、静岡県の東部地区」
「祐なら、なじみもあるからと思って」

純子は、にっこり。(また、ブルンと胸を揺らす)
「面白い場所ありそうですね、富士山とか」
瞳は、答える前に純子の胸に目が点。(祐より、遠慮がない)
「富士山とか、朝霧高原とか、白糸の滝・・・頼朝伝説も多いかな」

真由美の目はキラキラ。
「私たちも興味ありますよ、協力したいなあと」
「他県人から見た魅力も、どうかなと」
瞳は、真由美の顏が好きなようで、笑顔。(真由美を気に入った感じ)
「そうだよね、知らない魅力もあるかも」

朱里は、ゆったりとした口調。(これも鳴くまで待とうの家康公作戦かも)
「富士山、駿河湾、伊豆、全ての日本人が憧れる観光地ですよ」
「山の幸、海の幸も豊富で、いいなあと」
瞳は、朱里にも目を見張る。(マジにモデルと思った)
「助かります、そんなことを言ってもらって」
「それを、あのアホ祐が嫌がる、情けない」

最後は愛奈
「要するに、みんな協力するから心配ないよ」
「できれば、現地を見たいと」
瞳は、愛奈には引かない。(子供の頃から、よく知っている)
「愛奈は・・・目立っちゃうしさ・・・行くなら、完全警護かな」

愛奈が、少しムクレていると、祐がピアノから戻って来た。
そして、姉瞳の頭を撫でる。
「良かったねえ・・・みんな書いてくれるって」
「そのほうが、正解と思うよ」(要するに、自分は面倒)

瞳は、フンと祐に賛成の意を示す。
「確かに、地域自慢でなくて、客観的な他県者の視点だよね」
「それ、面白いかも」

祐は続けた。
「時々、移住者を欲しがる地方自治体の番組を見るけど」
「全てが地域自慢なの、胃の中の蛙」
「自己評価だけで、他人に受けて当たり前と思っている」
瞳の顏が真顔になった。
「それも・・・いい・・・メモするから待って」(実際にメモしている、字は酷いカナクギ流)

朱里も、祐の意見をフォローした。
「私の家も、愛知、名古屋の県庁とか、市役所の家系です」
「一番欠けているのは、東京とか他県が、どう見ているのかを忘れていること」
「何でも愛知とか名古屋が一番と自慢するだけ、東京とか他県をこきおろしてみたり」
「祐君の言う通りで、井の中の蛙」
「私も、東京に出て、ようやくわかりました」

真由美も真顔。
「都会から地方に移住する場合に、自然だけではないよね」
「やはり、生活に便利かどうかも、気にする」
「お店があるか、病院があるか、公共交通がしっかりしているか」

春奈は、東京都民としての意見。
「移住者を欲しがる地方のお役人は、東京に住んで見ればわかると思います」
「東京に慣れた時点で。自分の地方に、住みたいと思う魅力があるのか」
「住環境だけでなくて、閉鎖的な地域は嫌がると思いますよ」

瞳は、全てメモして、全員に頭を下げた。
「ありがとう、うれしいよ」
「これだけの人がいるなら、祐も任せられる、安心です」

話が落ち着いた時点で、祐は、姉瞳に確認。
「まさか、今夜泊るの?」

姉瞳の「元気」が復活した。
「祐と寝るかな」
(途端に祐は、嫌そうな顔)
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