第389話秋山美代子の思い

文字数 853文字

秋山康の妻、美代子でございます。
今回の祐君の講演代読は、そもそも夫の不始末(年甲斐もなく脚立にのぼって、ひっくり返ってしまったこと)からの、窮余の一策でした。
祐君も忙しいのに、本当に重荷を背負わせてしまいました。
今風に言えば、私は祐君フェチです。
私たちの若い時の言葉で言えば、祐君は天使。
生まれた時に病院にかけつけて、抱っこしたことを思い出します。(その時から祐君は天使、孫と思っています)
その後も、たまに彰子先生が連れて来る、その時に抱っこして遊ぶのが、本当に私にとって、癒しでした。(夫の受賞より、喜んだかもしれません(笑))

そして、今は祐君が夫の難しい原稿を、実に聞きやすい「日本の言葉」に「訳」してくれて、透き通った甘い声で、読んでおります。(いつもの夫康の講演では、みんな聞くフリだけなのですが(笑))(私も眠ってしまうほどの難しい原稿なので)
でも、本当に聞きやすいんです。
もう・・・夫は、うれしくて潤んでおります。
(もちろん、私も)

気難しい彰子先生も、その身を乗り出して、しっかりと聞いています。
会場を埋めた他の先生方ですか?
もう、陶然と、祐君の言葉の世界の住人になっております。

「確かに、この物語が書かれた時代は、一夫一正妻多妾制」
「若菜上で、女三宮は、朱雀院の娘なので、源氏の正妻になりました」
「それによって、正妻格でしかなかった紫の上は、格下げに」
「しかし、格下げによっても、紫の上は、立派な源氏の真実の妻を崩しません」
「何より六条院の秩序を、崩したくない、けなげな紫の上」
「本音は、相当に情けなく、苦しかったとしても、紫の上は」

・・・・・・

祐君の講演代読は、「源氏物語」の魅力を、さらに高め、深めるように、終わりました。
祐君が、お辞儀をする(すごくきれいに)と、会場を埋めた高名な学者たち全員がたちあがりました。

「よかった!」
「ありがとう!」
「期待しているよ!祐君」

盛大な拍手と、励まし、期待する声が、すごく多いんです 
(涙もろい秋山康も、ハンカチで目頭を抑えています、もちろん、私も)
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