第83話父哲夫と叔父義夫の会話

文字数 930文字

さて、祐の父親、森田哲夫は、世界各地を旅する写真家である。
若い頃に写真家大賞を受賞、その後も、有名作を次々に発表。
現在は写真家協会の幹部を務める、著名人でもある。

その森田哲夫は、太宰府に住む兄、森田義夫から連絡を受けていた。

「何でも、祐君の隣に住む女の子が、真由美ちゃんといって、隣の町内の菊池さんの娘さんだそうだ」
「お母さんから、よろしくって言われたよ」

哲夫
「うん、連絡ありがとう、そんなご縁があるなら、上手に付き合いなさいと言っておくよ」
「ただ、もう一人、祐の隣に住む女の子が、奈良で祐が大変お世話になった和菓子屋の娘さんらしい」

義夫
「そうか・・・縁は呼ぶものだな、不思議なことだ」
「で、祐君は大丈夫か?」

哲夫
「ああ、ストーカーの時は、どうにもならなかった」
「結局、避難させるしかなかった」

義夫
「ごめんな、去年の夏は、家を改装していて、預かれなかった」
哲夫
「気にしなくていいよ、祐は奈良も好きだから」

義夫
「そのストーカーの娘は意味不明だけど」
「文句を言って乗り込んで来た母ってのは、結局、金目当てだな」
哲夫
「何でも高利貸し、ヤクザに追われていたらしいから、そんなところだろう」

義夫は話題を変えた。
「また、太宰府に来てくれるか?」
哲夫
「ああ、いいよ、写真?」
義夫
「うん、写真、あのホテルで、今年もお前の写真をポスターに欲しいって」
「相場の値段で頼むよ」
「俺に言って来るから、しょうがない、でも協会の大幹部に直接は気後れしているのかな」
哲夫
「そんな、気にしなくてもいいのになあ」
「でも、それが兄さんとの縁、俺との縁だろう、わかった」
「祐も助手に連れて行きたいところだけど」
義夫
「それはいいよ、祐も、せっかく東京に出たんだ」
「いつまでも子供じゃない、好きにさせたほうがいい」
哲夫は笑った。
「そうかな、そういう時期かな」
義夫は声を低くした。
「両隣で揉めても困るだろうし」
哲夫は笑う。
「それはないだろう」
義夫は、ククっと笑う。
「祐君は、あれでモテる、女の子の気を引く」
「俺の女房が何度も言う、女難の相だって」
哲夫は苦笑い。
「ああ・・・経験あるな」
義夫
「でも、祐君が来たいって言うなら、いつでも歓迎だよ」
「女房が見たがって仕方ないよ」

哲夫と義夫の話も、長く続いている。
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