第264話中央線に乗って、神田オフィスに

文字数 993文字

祐君と私、純子と真由美さんは、秋山先生のお屋敷がある久我山から、井の頭線に乗り、吉祥寺から中央線に乗った。
祐君のお父様の「森田哲夫東京事務所」が神田にあるためである。

ただ・・・やはり、私と真由美さんにとっては、初めての「中央線!」なのである。

真由美さんは、すぐにテンションがあがった。
「ねえ、純子さん、マジに東京の地名!」
私も、似たようなもの。
「え?西荻窪?関東ラーメンの聖地?」
「あーー・・・ラーメン食べたくなった!」
から始まって
真由美さん
「うわ!ここが高円寺?へー・・・」

「あ・・・真由美さん、ここが中野だって!うわー・・・どうしよう!」

そんな「おのぼりさん地方女子」に呆れたのか、祐君は、ササッと距離をおいている。(この薄情者!後で真由美さんと一緒にお説教してあげる!)

そんな二人だから「新宿」の駅名を見た時は、勢いで「握手」。
真由美さん
「今度ご一緒に!東口方面を!」

「えへへ、ワクワクして来た」

新宿を過ぎた時、祐君が声を掛けて来た。
「あの、お二人さん、ここから中央線は揺れるから、注意してください」

で、その通りだった。
四谷の手前で、ガクンと揺れた。
うれしかったのは、祐君が支えてくれたこと。
まずは私・・・重たいかな・・・でも、うれしい。

次に揺れた時は真由美さん・・・(そこでニコニコしない!)

お茶の水を過ぎて、神田で降りた。
何と、駅前はゴチャゴチャしとるなあ・・・と思ったけど、数分歩いて立派なビルに入った。
その3階にシックな、「森田哲夫オフィス」の看板。

祐君が入る前に説明。
「店舗兼事務所?」
「というか、ギャラリー兼事務所かな」(・・・時々細かい性格になる祐君だ)

森田哲夫オフィスに入ると、事務員の方が出て来た。
中年の上品な女性。
「祐君、お待ちしておりました」
「もっと早く来るかと・・・待たせ過ぎですよ」

祐君が紹介してくれた。
「親父の元アシスタントで、柏木紀子さん」
柏木さんは、やさしそうな人。
名刺をいただいたので、私と真由美さんも自己紹介を済ます。

ただ、真由美さんはオフィスに入った時から、落ち着かない。

祐君が、その真由美さんの気持ちを察した。
「親父の写真ギャラリーを見ようか?」

確かに、壁一面に、様々なサイズの森田哲夫大先生の絶景写真が掛けられている。
これは、真由美さんだけではない、私も見たい。
(奈良の両親にも自慢できると思ったので、さっそく母にメッセージを送った)
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