第113話祐は怪我をしていた

文字数 652文字

祐は、事実として、午後4時の姉瞳の電話で目覚めた。
それ以前にも「チャイムやスマホが鳴っているような」そんな感覚はあった。
しかし、目が回って何もできる状態ではなかった。

姉との電話を終え、また、頭痛。
ただ、頭の中の痛みではなく、後頭部が切れたような(すりむいたよりは痛い)感覚。
少し心配になって、あちこちを見る。

「血が、少し出たのかな、床に跡がある」
「そんなに酷くない」
「今は、ポタポタしていないから」

そんなことを思っていると、チャイムが鳴った。
「純子です、真由美さんもいるよ」
祐は、ドアを開けようと、歩く。
幸いなことに、フラつきはない。

玄関ドアを開けると、純子と真由美が心配そうな顔。
純子
「ねえ、何回も来たの、何していたの?」
真由美
「顔色が悪いよ、大丈夫?」

祐は返事に困った。
まさか、転んで倒れて、今まで前後不覚なんて言いたくない。
「うーん・・・寝ていました」
と、中途半端な答え。

純子の顔が突然変わった。
「ねえ、祐君、シャツに血が付いているよ」
「どうしたの?」
真由美は、サッと動いて、祐のあちこちを見る。
「祐君!耳の後ろ!怪我している」

祐は、焦った。
「大丈夫、歩けるし、少し転んだだけ」

純子は、床の血痕を発見。
「あそこで転んだ?」
「病院に行った方がいい」
真由美は、そのままスマホで病院を調べる。
「うん、近くに整形外科がある、予約する」
「まだ、間に合うはず」

純子も動きが迅速。
「私、タクシーを呼ぶよ」
「お母さんにも連絡しておく」
「それと恵美ちゃんにも」

祐は、起きていきなりの展開の早さに、全くついて行けない。
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