第225話社会人講座のバイトにて

文字数 924文字

翌日の夜は、佐々木教授の社会人講座「万葉集の世界」のお手伝い。
祐と純子、真由美、春奈はお茶の水校舎11階で準備作業等を行い、教室の一番奥に座っている。

講義開始30分前から、受講者が姿見せ始めた。
高齢者も多いけれど、中には仕事帰りの、若い人もかなりいる。
ほぼ15分前に満席になったので、祐たちは遠慮して、廊下に出て、談話室に入った。


「何か、自分の原稿がテキストになると、緊張する」
純子
「大丈夫、佐々木先生もチェックしてOKしたんだから」
真由美
「今さら・・・でも、ここから、東京ドームが見える・・・不思議な感じ」
春奈
「晴れた昼間なら、富士山も見えるらしい」
祐は、少し笑う。
「富士山は、毎日見て育ったから」
純子
「マジに、ぜいたくやな」
真由美
「そう思う、確かに」
春奈
「見に行きたいな、どう?」
純子
「祐君のご実家も?」
真由美
「それは・・・見たい」
祐は、慌てて制止した。
「姉貴がいるかも、猛犬みたいなもの」
「噛まれるよ」
「今は、アルバイト優先」

純子は、笑いながら、話題を変えた。
「でも、ここに集まる人は、素敵だなあと思うの」
「受験勉強とか、テストの成績に関係なく、万葉集を学ぶ」
真由美
「うん、これこそ純粋なお勉強」
「学生より熱心かも」
春奈
「カルチャースクールのご婦人たちは、単なる暇つぶしもあるけれど」
「ここには、着飾った人もいない」

そんな話をのんびりとしていると、午後7時半に講義は終了。
祐たちは、教室に戻って、後片付けや、忘れ物のチェックなどを済ます。
最後は、佐々木教授と簡単に打ち合わせ。

佐々木教授
「みんな、ありがとう、二週間後もよろしく、次回の概要は、後で祐君のPCに送ります」
祐は、素直に頷き、社会人講座の初バイトは終了した。

帰りは、駿河台をくだり、靖国通り、古本屋街を歩いて、神保町駅に。
神保町駅から都営線と京王線直結で帰る予定。

真由美はキョロキョロ。
「不思議な感じ、東京の街の夜か」

「うーん…下町だよ、ここは」
春奈
「まあ・・・ヒルズとか、いつか」
純子
「銀座も歩いてみたいの」
「それも夜の銀座」
真由美がすぐに乗った。
「うん、行きましょう」

祐は、そんなものかな、と思いながら、歩く。
途中、スマホに長文のメッセージが入ったようで、懸命に読んでいる。
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