第339話炎上アイドルレイラVS愛奈(1)

文字数 1,437文字

祐の二晩続けての「甘い夜・・・あるいは身動きが出来ない夜」とは、別問題が発生した。
国民的アイドルであり、子役時代からの祐の恋人(愛奈が自認する限りではあるが)の、桜田愛奈は、同僚アイドルと、祐をめぐってトラブルになっていた。

そのアイドルは、最近になって売れ出した「レイラ」。
顏は、丸くて童顔、体型は十人並み。

ウリは、その演技力と、他人を見下す「上から目線暴言」(童顔とのギャップがウリ、受けている状態)

「年収1千万以下の男に人権はない」
「イケメン以外の男はゴミ」
「ブスは、スカートをはく資格なし」
・・・・
同じ業界で働く同僚や先輩にも、「上から目線暴言」を、ためらわない。
「セリフ失敗しないでくださいよ!もう何回目?脳みそあるの?」
「売れない先輩、もう、この仕事辞めたら?」
「あんな貧乏芸人と出たくない、私の身体まで臭くなる」
「あの、おっさん誰?メチャきもい!(超ベテラン俳優、時代劇系のスター)」
「あのおばさんの顏ってオカメ顏、笑える(これも超有名映画女優)」
・・・・

その「上から目線暴言」が許されているのは、「レイラ」が「現在売れている状態」であるからと、言われた相手からも、「消えるのは時間の問題」と思われているから。(つまり相手にするのも馬鹿馬鹿しいくらいの才能しかないこと)であるけれど、当の本人は、全くわかっていない。(SNSで何回か、上から目線暴言で盛り上がったので、天下を取ったような気持ちになっている)

さて、前置きが長くなった。
愛奈とレイラの大トラブルの発端は、とあるテレビ局の楽屋でのこと。

愛奈がスマホで祐の写真を見ていたら、いきなり、レイラが絡んだ。
「愛奈!その子誰?マスコミにばらすぞ!教えなさいよ!」

愛奈は、ムッとした。
「何よ、あなた!」
「先輩だよ、私」
「まず、その言い方直しなさいよ!」

しかし、レイラは、そんなことで「はい」と頭を下げるキャラではない。
「うるさいなあ・・・先輩後輩って、そういう考えが、ウザいの!」
「今は令和なの、そういう上下は昭和まででしょ?」
「もうすぐに抜かれるって焦っているんでしょ?」
「ねえ!教えなさいよ!」
「教えなかったら、桜田愛奈は、超意地悪女って言いふらすよ!」

愛奈も強い。
「教えないよ、一般人だし」
「でも、レイラなんかより、レベル違いの才能」
「私も、この子は、尊敬するもの」
「マスコミ?できないよ、この子のバックは超大物がいるし」
「最近、ちょっと売れただけの、レイラなんて、簡単にポイしちゃうよ」

この愛奈の言葉には、「上から目線暴言アイドル」を自認するレイラも、引いた。
愛奈は、子役時代から、政府御用達の国民的アイドルであるし、超名門財閥系の仕事も多い。
(つまり日本の中枢の超大物を多く知っている)
その関係から、愛奈に逆らうと、レイラ自身の身も危なくなる、それを理解したのである。

しかし、レイラは、大のイケメン好きである。
チラッと見ただけではあるけれど、愛奈のスマホに映っていた一般人の男の子(祐)に直接逢いたくなってしまった。
それと、愛奈がスマホの待ち受けにしていて、自分ができないのも悔しかった。

レイラは、途端に猫撫で声になった。
「ねえ、逢いたいよ、ダメかな」

愛奈は、「当然」キャンセル。
「無理、レイラなんて」
「あの子、アイドル知らないし」
「生きている世界も違う」
「私だって、ずーっと順番待ちして、少しだけ」
「それも、子役の頃から」

レイラは、「国民的アイドルの愛奈が?子役の頃から?」と、全く理解できないでいる。
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