第245話祐君と「達郎さん」

文字数 1,223文字

マスターも達郎さんと握手、純子さんと私、朱里は握手は当然、手帳にしっかりサインをもらう。(胸が張りさけそうなほど、ドキドキした)

マスターはにこやかに説明。
「この人は、祐君たちの大学の卒業生、だから先輩かな」
「このライブバーでも、よく演奏してもらった」(初耳・・・マスターも大物だ!)

達郎さんも笑顔。
「駆け出しの頃・・・いやアマチュアの頃からお世話になって」
祐君が達郎さんに聞く。
「親父とは、話ついたの?」(・・・それは・・・聞いていない・・・)

達郎さんは、祐君の肩を叩いた。
「ありがとう、助かった」
「どうしても、哲夫先生にお願いしたくてさ」(達郎さんと哲夫大先生のコラボ?マジにすごい)

祐君が私たちに説明する。
「達郎さんが音楽、親父が映像なの」
「ふたりとも凝り性だから、面白いかな」

祐君の説明が面白いのか、達郎さんは祐君の肩をまた叩く。
「なあ、祐君、何か弾く?」(演奏したくて仕方ない感じ)

祐君は、時計を気にする。
「講義が1時から、あまりできない」(・・・この・・・塩対応)(私だけではなかったようだ)

しかし、達郎さんは、祐君の返事が終わる前に、ケースからギターを取り出し、祐君に渡す。(無理やりだ、祐君には、そのほうがいいのかな)

祐君は苦笑。
「え?僕がギターなの?」

達郎さんは、また笑う。
「いつものでいいよ」(いつものって?二人はパートナーなの?)

祐君は、「うん」とチューニングを済ませ、イントロを弾き出す。
達郎さんの曲ではなかった。
大滝詠一さんの曲だった。
「恋するカレン」
「ペパーミントブルー」
「カナリア諸島にて」
最後は
「君は天然色」
祐君のギターは、キレがあり、ロマンチック、何よりリズムが崩れない。
達郎さんも、その美声を華やかに響かせた。
懐かしい昭和ポップス、ライブバーはすごい盛り上がり。

達郎さんは祐君を思いっきりハグ。
「歌いやすい、祐君」
祐君は、手をヒラヒラと。
「今は、古文専門、ギターは久々」(この塩対応男!)
そして、念を押す。
「ビデオは、親父とね、僕は無理」
「僕の代わりに、芳江叔母さんは?」

達郎さんは、意外な表情。
「芳江さんね、面白いかも」
「腕は確かだよね、元N響か」

祐君
「弦楽器伴奏の達郎さんも新バージョンかな」

達郎さんは、目をクルクルとさせる。
「ほー・・・できるかな・・・どんな曲がいいか」
「それとも新曲かな」

祐君は、悪戯っぽい顔。
「さあ・・・僕は古文だから」
「源氏読まないとね」

達郎さんは、悔しそうな顔。
「そうやって、たきつけておいて?」

祐君は、ニヤッと笑って席を立つ。
「じゃあ、講義がありますので、また」
「芳江さんには、僕から連絡する」
これには、純子さんも私も、驚いて祐君の後を追う。

店を出て祐君
「どうせ、また何か言って来る」
純子さん
「あの超大物とお友だちなの?」

「祐君、すご過ぎ」
祐君
「親父の撮影に付き添って、いろんな人を知っているだけ」
「別に、僕の力ではない、何もすごくない」
(祐君は、少し悔しそうな顔になっていた)
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