第86話築地の料亭にて、祐君の昔話

文字数 1,355文字

私、吉村純子にとって、実に楽しい夜になった。
隣には、愛しい祐君。(でも、人前では、ヨダレは出さないのだ)
目の前には、とにかくレベルの高い築地の日本料理。(美味しい!奈良のおっとりとした味付けとは違って、キリッとした感じ)
そして、祐君の叔母さんの美智代さんと、逢って、すぐに意気投合(従妹恵美ちゃんとは、とっくに大の仲良しだ!)、いろんな話が弾んだ。

美智代さん
「小さな頃から、雰囲気がいい子でね」(うんうん、その小さな頃にも逢いたかった)
恵美ちゃん
「私より、肌がきれいだった、気に入らないけれど」(ふふ、楽しみが増えた)
祐君は、反発した。
「そういう答えに困るような話はしないで」(その文句顔も、また可愛い、ツンツンしたくなる)

「そうなんですか、雰囲気の良さは、相変わらずですね」

美智代さん
「あ、写真があったかな、みんなで品川のプールに行った時の」
恵美ちゃん
「私、持って来る!」
祐君は、「はぁ?」と困惑顔。(面白いなあ・・・またイジるネタが増える)


確かに、品川のホテルのプールの写真。

祐君、恵美ちゃん(二人とも、メチャ可愛くて、お人形さんみたい、5歳か6歳くらい)

え?美智代さん?(スタイル抜群だ、モデル並み、バストは大きいし、ウェストもキュッと・・・脚が長い・・・美脚だ)

美智代さんが、意味深な顔になった。
「祐君ね、泳ぎも、まあまあ上手だったけどね」(まあまあとは?意味不明)

恵美ちゃん
「でも、まだ6歳だったのに、頑張り過ぎて」
「大人用のプールの中央で、疲れちゃって」(何ですと?また不安だ)

祐君は、焦った顔。
「それ、言うの?」(聞きたくなるな、そう言うと)

美智代さん
「沈んじゃいそうになって」(それは・・・あかん)
「そしたら、フランス人の女の子、10歳くらいの子が、飛び込んで」(先が聞きたい・・・マジに、いろんな意味で、あかん!)

恵美ちゃんが、その写真を見せてくれた。
祐君・・・そのフランス人の女の子に、抱きかかえられている。(祐君は、ちょっと半べそ?怖かったのかな)

恵美ちゃん
「祐ちゃんは、泣いて、その女の子にお礼を言って」
「ありがとうって、何度も」(はぁ・・・無茶するから、大人用のプールは中央が深いのに)

美智代さんは、苦笑。
「フランス人の女の子は、その祐ちゃんが、可愛かったのかな」
「ずっと抱いちゃって、離さないの」
「ようやく離しても、隣に座らせていて」
「私たちが、お礼に言っても、もう少し一緒にって」(・・・マジ?)

恵美ちゃん
「一緒にジュースを飲んだり、アイスを食べたり」
「少しじゃなくて、かなり妬けた」(その気持ち、ようわかります)

美智代さん
「その女の子ジュリアちゃんって言うんだけど」
「フランス本国に弟がいて、祐ちゃんの雰囲気が似ていたとか」
「絶対に自分が助けたいと」(そうか・・・少し安心したぞ)

「祐君、その後、そのジュリアさんとは?」(ここは、確認が必要だ)

祐君
「2,3年、文通はしたよ、フランス語は難しかったから、いろんな本を読んだり、母さんの大学の先生に翻訳してもらったりした」
「お父さんが、貿易の仕事みたいで、いろんな国に行くとは聞いたよ」
「今は、わからない」

私は、「今はわからない」で、ホットした。

でも、再会したら、「私の祐君を助けてくれてありがとうございました」と、言おうと思った。

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