第200話真由美は祐を急襲して捕獲

文字数 1,141文字

夜9時に作業は終了。
田中朱里は、「胸のつかえが取れました」とさわやかな笑顔でタクシーに乗り、帰って行った。

純子と真由美も、自分の部屋に戻ったので、祐は風呂の支度、しばし待つ。
自分でも「疲れたかな」と思う。
部屋の中には、女性3人の香水の匂いが、まだ残っている。
柑橘系の香り、種類も違うのか、混じり逢って、慣れない祐には、あまり気持ちがいいものではない。

「何か、頼まれ仕事が多過ぎて」
「しかも、本気でやらないと」
「気が抜けない仕事ばかり」
重荷といえば、その通り。
期待に応えねば、と思うけれど、自分が望んだ目が輝くような仕事ではない。

そんなことを思っていると、風呂から完了コール。
そのまま、風呂に20分沈む。
水分を多めに取ったためか、カレーの効果か、汗が多めに出る。
身体も髪も洗い終わり、バスローブを身に付け、リビングに戻った時だった。

玄関のチャイムが鳴った。
インタフォンから、すぐに声が聞こえて来た。
「真由美です、忘れ物したの、スマホだよ、入っていい?」

断る理由がない。
「あ・・・どうそ」(少し噛んだ)(バスローブだけの姿が、本当に恥ずかしい)

真由美は、そのまま入って来た。(純子も真由美も、合鍵を持っている)
ソファにめり込んでいたスマホを拾い、祐を見て、うれしそうな顔。

「おや・・・いい感じ」

祐は、また焦った。(いい感じの意味が不明)

真由美が、笑顔のまま、近寄って来た。(もう、目の前にいる)
「ジュリアさんとは、ハグしたの?」
真由美は、セーター一枚の比較的薄着。
胸の形もはっきりわかる。

祐は、後ずさりした。(何故、ここでジュリアとのハグの話が出るのかはわからない)
「うん、12年ぶりで、フランス人の習慣かなあと」(祐は口が渇いてきた)

真由美は、涙目で祐を見た。
「ごめん、少しだけでいいの・・・落ち着かなくて」
「ジュリアとしたことを私にも」(その声が震えている)

祐は、困った。(どうしていのか、わからない)
しかし、真由美は止まらなかった。
そのまま、腕を祐の背中まで回した。

「私から、無理やりでもいいよ」(涙声だ)

祐は、ぎこちなく、真由美を、そっと抱いた。
途端に、真由美の身体の力が抜けた。
祐が強く、真由美の身体を支える。(真由美は、泣き出した)

しばらく、そのままだった。
二人は、自然に腕を離した。

真由美は、涙もおさまり、うれしそうな顔。
「ごちそうさまでした」
「無理やりかな・・・でも、気持ちがスッキリした」

祐は、また意味が不明。
「何か、あったの?」(自分でも無粋と思うが、他に言葉が浮かばない)

真由美は顔が赤い。
「いい感じね・・・お色気祐君だ」

祐は、プッと吹く。
「からかわないで」

真由美は、ニコッとして立ちあがる。
「また・・・明日・・・」

そのまま、投げキッスをして、部屋に戻って行った。
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