第186話女子会と祐君 再び田中朱里が祐君の隣に

文字数 1,498文字

おむすびは、私、純子と、真由美さん、春奈さんの三人で作った。(もちろん関東風の味噌汁は欠かせないし、ポテトサラダも塩気が少し強い)

ただ、おむすびは食べたものの、女子たちは「東京トークで」盛り上がるばかりだ。
(結局、誰が祐君と話をするのかで、けん制してしまう・・・目と目、雰囲気でストップをかけてしまう)

祐君は、最初は固まっていた。(苦手だよね、こんな大笑いの、女子会)(そういう上品でシャイな性格も好きだ)(ペラペラ軽薄男も多いけれど、蹴飛ばしたくなる)

平井先生は、結局来なかった(というより、明日来たいと)(祐君は、OKした・・・断れないよね・・・少し疲れが顔に見える)
祐君の表情がなごんだのは、冒頭歌の「こもよ みこ持ち ふくしもよ~」に、ようやく話が及んだ時。
祐君
「これ・・・日本民族に対しての、ことほぎの歌と思うんです」

「たしかに、おめでたい、子孫繁栄を願うような、あっけらんとしたプロポーズの歌」
真由美さん
「そうでないといけないって感じ、いろんな歌があるけれど、忘れてはならない歌」
春奈さんも笑顔。
「古今ではないよ、こんな大らかな歌、いいなあ、万葉も」

「私は奈良だけど、明日香村も好き、いい風が吹いている」
真由美さん
「山辺の道を歩きたいなって・・・吉村先生のお話では写真を撮るよね」
祐君
「親父の師匠の写真を参考にするかな」
春奈さん
「って・・・入江先生?」

「犬養先生の記念館には?」
祐君
「あそこは、母さんとも行った、母さんの本も置いてある、お礼かたがたで行く」

・・・そんな話が続き、結局冒頭歌の一首だけで、作業は終わり。(明日平井先生が来る、というので、特に女子たちが、遠慮してしまった)
女子全員は、9時で帰った。(祐君は、懸命に疲れ顔を隠していた・・・ごめんね)

翌日は、午前9時から英語の授業。

朝が苦手の祐君(ぼんやり寝ぐせが、可愛い)(髪の毛もフワフワで・・・マジにお人形さん)が、モタモタと席に着くと、また、田中朱里が、パタパタと小走りに、祐君の隣に座る。

スタジャンに、胸にピッタリのセーター(胸もあるなあ・・・私には負けるけど)。しかし・・・美脚むき出しのミニだ(その太ももは、美味しそうなくらいに、真っ白で張りがある・・・って・・・ついにお色気攻勢?)

田中朱里は必死顏。(フラれ続けて、名古屋嬢のプライドもズタズタかな)
「ねえ、祐君・・・今日も忙しいの?あまり断らないで」(確かに、二回はキャンセルしとる、まあ、これ以上は可哀想かな)

祐君は、まだボンヤリ。(この人、女殺し?美少女に興味ないの?)
それでも答えた。
「時間があえば・・・」(ボケた返事や・・・ほんまに・・・うちにはいいけど)

そう言いながら、予定帳を見る。
「ごめん、昨日あまり寝ていなくて・・・予定を掴んでいない」
「あ・・・10時半過ぎなら・・・空いているかなあ」(きっと女子会の後、佐々木先生の万葉集課題に取り組んだのかな、それが深夜まで・・・だからぼんやり寝ぼけ顔か)

私が祐君を補足した。(簡単には、私の祐君を、田中朱里のお色気攻勢に、さらしたくはないのである)
「祐君、おそらくバイト疲れで眠い・・・それでもいいの?」

田中朱里は、花のような笑顔(おまけに胸を張り、揺らすし・・・あざとい・・・こいつ)
「はい、楽しみです!」

ただ、祐君は授業中は、居眠り継続。(寝息が可愛い!)(でも田中朱里もクスクスで、身体も寄せ過ぎ!禁止令を発動したい!)(寄せるのは、私だけ独占するんや、譲らん!)

驚いたのは、先生に指名された祐君が英文テキストを読んだ時。
スラスラと美声、しっかりとした格式高い英国風の発音だったのだから。
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