第208話 どうしてこうなった!?
文字数 1,870文字
どうしてこうなった!?
隣には寝乱れた姿で小さな寝息を立てているキャラがいる。
いや、昨日の経緯は覚えている。
僕が広い浴場を十分堪能して脱衣所に戻ると、キャラが脱衣所に入ってきたのだ。
「お館様。まだ入っていらしたのですか」
「あ、ああ……」
と、まあなんとも締まりのない返答をしたもんだ。
で、一度は理性を総動員して脱衣所を出てはみたものの、バロ村を出てから四ヶ月以上ナニをしていなかった若さは歯止めが効かず、浴場で欲情してしまったわけだ。
(最低な親父ギャグね)
ホント返す言葉もございません。
一回戦はほとんど襲ったようなもんで、前世で訴えられていたら百パーセント有罪判決が出てもおかしくない。
ただ……。
かなり強引だったと自分でも自覚があるけど、抱く前に一応口説いた。
……口説いたつもりだ。
「キャラ」
と、再び服を脱いで浴場に戻り後ろ姿に声をかけると、
「お館様!?」
と、驚いて振り返る。
手拭いでは隠しきれない健康的な肢体は掛けられた湯を弾いて薄暗い中でも眩しく感じられたし、洗い立ての濡れた髪が赤くなった頬にかかっていて色っぽかった。
あとはどう言葉をかけたものやらぼんやりとしか覚えていないわけだけど、とにもかくにも強引に口説いて……
(ヤっちゃったわけだ)
だからリリム、その「ヤ」はやめなさいって。
これはあくまで僕の主観だから本当のところはどうか判らないわけだけど、キャラは特に抵抗らしい抵抗をしてこなかった。
うん、たぶん……。
で、寝室に場所を変えて明け方近くまでフィジカルコミュニケーションをしていたわけだ。
(こっちはセーフ、だよな?)
(まぁ、場所を変えても受け入れてくれたんだし、そっちは私が判事でも無罪判決出してあげるわよ)
……だよね?
(てか、逆にハメられた説もあるんじゃない?)
(え?)
(ハニートラップ。わざと風呂上がりのタイミング狙って脱衣所に入ってきた可能性もあるんじゃないかって言ってんの)
…………。
おお!
それはそれで……
(問題ない!)
(ないのかっ!)
リリムのツッコミが可愛い女子高生の飲み会リアクションで和む。
(女子高生が飲み会にいちゃダメでしょ!)
あ、そうだね。
なんだか朝からテンパってるね、僕。
とまあ、ゴソゴソしていたら「ん……」と、色っぽい吐息を一つついてキャラが目を覚ました。
僕は、内心ドッキドキなわけだけど、このドッキドキは一体どっちのドッキドキなのか?
それはともかくちょっと微笑んで
「おはよ」
と、優しく声をかける。
寝ぼけ眼がパチリと開き
「お館様!?」
と呟いたかと思えば、一度掛布を頭からかぶって目だけを出して恥ずかしそうにこちらを見つめてくる。
かわいいかよっ!
スタイル抜群の長身美人が朝のベッドで、はにかみながら上目遣いで見上げてくるとか、あざといにも程があるっ!!
なるほど、リリムの言う通り昨日の風呂場の一件はキャラに仕向けられた可能性が高そうだ。
「ずるいな」
その一言ですべてを察したようだ。
「お館様が好いてくれていることは感じていました。でも、好意を向けてくれながらなにもしてくれないからです」
「僕は君に好意を向けられていた認識はないんだが、どうかな?」
「立場上、あからさまな好意を向けるわけにはいかなかったのです。それに、お館様にはサラ様がいらっしゃいます。下賤の身の私がお館様を好いているなどと知れたら……」
曇る表情がまたゾクっとくるほど色っぽい。
僕は顔を上げさせ軽く口づけをすると
「サラはそんなに意地悪じゃあないよ」
そう言って今度は貪るようにキスをする。
昨日も思ったけど、キャラの唇は柔らかくて気持ちいい。
サラの唇も柔らかいけど、彼女のはプリッとした弾力のある柔らかさで、キャラの唇はこちらの唇と一体になるようなとろけるような柔らかさだ。
「お館様」
このまま抱きしめて朝から……と行こうとしたところで、外から呼びかけられてしまった。
……チッ、いいところだったのに。
「オクサか」
「はっ。兵どもの準備、整ってございます。やはり長期の遠征で里心がついているようで、早く家路に着きたいと皆急 いている様子」
「そうか。今行く。三町の軍は各将の準備が出来次第出立していいぞ」
三ヶ村の部隊は僕が率いて帰ることになっている。
僕がいかなきゃ出発できないわけだ。
急いでやらなきゃならない。
「かしこまりました」
外の気配が遠ざかるのを待って、僕は起き上がる。
その際に掛布の中の均整の取れたキャラの肢体がチラリと見えた。
…………。
くぅ……残念だ。
隣には寝乱れた姿で小さな寝息を立てているキャラがいる。
いや、昨日の経緯は覚えている。
僕が広い浴場を十分堪能して脱衣所に戻ると、キャラが脱衣所に入ってきたのだ。
「お館様。まだ入っていらしたのですか」
「あ、ああ……」
と、まあなんとも締まりのない返答をしたもんだ。
で、一度は理性を総動員して脱衣所を出てはみたものの、バロ村を出てから四ヶ月以上ナニをしていなかった若さは歯止めが効かず、浴場で欲情してしまったわけだ。
(最低な親父ギャグね)
ホント返す言葉もございません。
一回戦はほとんど襲ったようなもんで、前世で訴えられていたら百パーセント有罪判決が出てもおかしくない。
ただ……。
かなり強引だったと自分でも自覚があるけど、抱く前に一応口説いた。
……口説いたつもりだ。
「キャラ」
と、再び服を脱いで浴場に戻り後ろ姿に声をかけると、
「お館様!?」
と、驚いて振り返る。
手拭いでは隠しきれない健康的な肢体は掛けられた湯を弾いて薄暗い中でも眩しく感じられたし、洗い立ての濡れた髪が赤くなった頬にかかっていて色っぽかった。
あとはどう言葉をかけたものやらぼんやりとしか覚えていないわけだけど、とにもかくにも強引に口説いて……
(ヤっちゃったわけだ)
だからリリム、その「ヤ」はやめなさいって。
これはあくまで僕の主観だから本当のところはどうか判らないわけだけど、キャラは特に抵抗らしい抵抗をしてこなかった。
うん、たぶん……。
で、寝室に場所を変えて明け方近くまでフィジカルコミュニケーションをしていたわけだ。
(こっちはセーフ、だよな?)
(まぁ、場所を変えても受け入れてくれたんだし、そっちは私が判事でも無罪判決出してあげるわよ)
……だよね?
(てか、逆にハメられた説もあるんじゃない?)
(え?)
(ハニートラップ。わざと風呂上がりのタイミング狙って脱衣所に入ってきた可能性もあるんじゃないかって言ってんの)
…………。
おお!
それはそれで……
(問題ない!)
(ないのかっ!)
リリムのツッコミが可愛い女子高生の飲み会リアクションで和む。
(女子高生が飲み会にいちゃダメでしょ!)
あ、そうだね。
なんだか朝からテンパってるね、僕。
とまあ、ゴソゴソしていたら「ん……」と、色っぽい吐息を一つついてキャラが目を覚ました。
僕は、内心ドッキドキなわけだけど、このドッキドキは一体どっちのドッキドキなのか?
それはともかくちょっと微笑んで
「おはよ」
と、優しく声をかける。
寝ぼけ眼がパチリと開き
「お館様!?」
と呟いたかと思えば、一度掛布を頭からかぶって目だけを出して恥ずかしそうにこちらを見つめてくる。
かわいいかよっ!
スタイル抜群の長身美人が朝のベッドで、はにかみながら上目遣いで見上げてくるとか、あざといにも程があるっ!!
なるほど、リリムの言う通り昨日の風呂場の一件はキャラに仕向けられた可能性が高そうだ。
「ずるいな」
その一言ですべてを察したようだ。
「お館様が好いてくれていることは感じていました。でも、好意を向けてくれながらなにもしてくれないからです」
「僕は君に好意を向けられていた認識はないんだが、どうかな?」
「立場上、あからさまな好意を向けるわけにはいかなかったのです。それに、お館様にはサラ様がいらっしゃいます。下賤の身の私がお館様を好いているなどと知れたら……」
曇る表情がまたゾクっとくるほど色っぽい。
僕は顔を上げさせ軽く口づけをすると
「サラはそんなに意地悪じゃあないよ」
そう言って今度は貪るようにキスをする。
昨日も思ったけど、キャラの唇は柔らかくて気持ちいい。
サラの唇も柔らかいけど、彼女のはプリッとした弾力のある柔らかさで、キャラの唇はこちらの唇と一体になるようなとろけるような柔らかさだ。
「お館様」
このまま抱きしめて朝から……と行こうとしたところで、外から呼びかけられてしまった。
……チッ、いいところだったのに。
「オクサか」
「はっ。兵どもの準備、整ってございます。やはり長期の遠征で里心がついているようで、早く家路に着きたいと皆
「そうか。今行く。三町の軍は各将の準備が出来次第出立していいぞ」
三ヶ村の部隊は僕が率いて帰ることになっている。
僕がいかなきゃ出発できないわけだ。
急いでやらなきゃならない。
「かしこまりました」
外の気配が遠ざかるのを待って、僕は起き上がる。
その際に掛布の中の均整の取れたキャラの肢体がチラリと見えた。
…………。
くぅ……残念だ。