第251話 攻城戦 5
文字数 2,064文字
「魔法兵、背後警戒」
前面の敵は三銃士がいるから心配いらないだろうと、僕は後ろから攻撃されないように魔法兵に注意をさせつつ戦況を見守る。
宣言通りに指揮官にはガーブラ一人で当たるようだ。
サビーとイラードは一般兵に大きな被害が出ないようにフォローに回っている。
本当なら二人とも指揮官として命を大事にするべき立場だと思うんだけど、根っからの戦士なんだろうな。
表情が嬉々としてて若干怖い。
一対一 の勝負は赤い暴風の異名通りの猛攻で敵将は最初から防戦一方だった。
この勝負もサビーの時同様、ガーブラの剣がポッキリ折れたところで終了した。
こいつら無敵だな。
勝てるやついるのか?
いや、僕の配下にはこのレベルゴロゴロいたわ。
てことは、タメ張れる連中がそこそこいるのか?
やっぱ世の中って広いわ。
呼吸を整えるのもそこそこに三人は先を急ごうとする。
そこに、移動電話が鳴った。
「カイジョー殿からです。少しずつ押され始めているとのこと。指揮官に能力向上魔法を使わせるそうです」
「判った」
外の戦況はなかなか厳しいようだ。
持続時間は能力向上改で一時間半、極みだと一時間。
極みの使用は許可していないとはいえ、タイムリミットは一時間と見るべきだな。
報せてくれたのはすごくありがたいんだけど、こりゃあいよいよ厳しくなってきたぞ。
「お館様、我々にも能力向上魔法の使用をご許可願います」
イラードが改まって跪く。
確かにゴリ押しで強行突破していくべき状況かもしれないけれども効果が切れた時のことも考えると許可は躊躇しちゃうよね。
「二人だ。二人だけに使用を許可する」
「じゃあまずはワシ……」
「ガーブラは奇襲戦の時に使っているじゃないか。今度はオレの番だ」
「むむぅ……イラードは使ったんじゃないのか? 関門戦で」
「ああ、使った。だがな、ガーブラ。魔法を受けたいのはワタシだって同じだぞ」
お、おぅ……副作用の酷さを知っててうちの武将どもはなんでそんなに使いたがるんだ?
てか、そこで主張し合っていると大事な時間が刻一刻と過ぎちゃうじゃないか。
「ええい、もういい。魔法を使用するのはサビーと私だ」
「そんな、殺生な!」
「その魔法、あっしにかけていただくってのはダメでしょうか?」
トビーまでかよ、まったく……。
「言い争っている時間はない。チャールズ、頼む」
「はい」
くそー、使いたくないんだけどなぁ……。
魔法をかけてもらった後はひたすらに最上階を目指す。
外観の窓の位置から五階建てと思われた城である。
四階から五階に登る階段の一つを見つけたところで後ろから追ってきた敵部隊に追いつかれてしまう。
「ここは、オレに任せてもらいましょう」
嬉々として殿を務める主張するサビー。
両手にはバコードとの戦いで失った剣の代わりに敵兵から奪った剣が一本ずつ握られている。
あれ? これって邦画のアクションものとかでよくあるシチュエーション?
結構な人数いるけど、一人で相手にできるのか?
変なフラグじゃないだろうな?
「あっしが付き合いやす」
と、トビーが主張する。
「はん、じゃあ背中を任すぜ。背中だけでいいからな」
「無理はしませんぜ」
んーん、悩んでいる暇はないな。
「任せた」
短く言うと、僕らは先を急ぐ。
階段を登って突き当たりのドアを蹴破ると、そこにはひときわ意匠を凝らした鎧に身を包んだ小柄な五十がらみの男と、屈強な兵士たちがいて一様に驚いた顔をこちらに向けた。
反応早く鞘から剣を引き抜いた男が二人。
ただ、この二人ってのがなかなかの強敵と見た。
目立つ三人以外の兵士をざっと数えると十五人ほど。
他に五十がらみの男によく似た青年と少年が、どちらもそれなりに華美な鎧を着て男のそばにいる。
こっちは引き連れている歩兵だけでも三十人。
それに魔法部隊一隊や忍者部隊がいて総勢で六十人だ。
「ズラカルト男爵とお見受け致す。見ての通りだ。大人しく降伏することを進める。我が軍門に降りたまえ」
「なにを言うか、田舎武将の分際で。このザバジュが斬り殺してくれる」
向かって右の男がそう吐き捨てて斬りかかってきた。
まったく。
小脇に抱えていた槍を横凪に払うと、サバジュがさっと後ろに飛び退 ってかわした。
やるな。
「ティブルック、気をつけろ。こやつなかなかやるぞ」
「ティブルック。ティブルックか。お主の相手はワシがしてやろう」
ニヤニヤしながらガーブラがこれもサビーと同じく敵兵から奪った剣を肩に担いで前に出てきた。
え? この狭い部屋で複数の戦闘?
じゃ、槍なんか振り回している場合じゃないな。
槍をオギンに渡して腰からジャリが鍛えた反り身の片刃刀を抜き放つ。
打ち合ったら一発でダメになるから出来れば一太刀で決めたいな。
「イラード、チャールズ。邪魔はしちゃなんねぇぞ」
と、ガーブラが言うからしないんだろうな。
僕としてはしてくれても構わないんだけど。
まぁ、後々の風評を考えると正々堂々と戦って勝っておきたくはあるか。
能力向上中だから負けない。
……はず。
前面の敵は三銃士がいるから心配いらないだろうと、僕は後ろから攻撃されないように魔法兵に注意をさせつつ戦況を見守る。
宣言通りに指揮官にはガーブラ一人で当たるようだ。
サビーとイラードは一般兵に大きな被害が出ないようにフォローに回っている。
本当なら二人とも指揮官として命を大事にするべき立場だと思うんだけど、根っからの戦士なんだろうな。
表情が嬉々としてて若干怖い。
この勝負もサビーの時同様、ガーブラの剣がポッキリ折れたところで終了した。
こいつら無敵だな。
勝てるやついるのか?
いや、僕の配下にはこのレベルゴロゴロいたわ。
てことは、タメ張れる連中がそこそこいるのか?
やっぱ世の中って広いわ。
呼吸を整えるのもそこそこに三人は先を急ごうとする。
そこに、移動電話が鳴った。
「カイジョー殿からです。少しずつ押され始めているとのこと。指揮官に能力向上魔法を使わせるそうです」
「判った」
外の戦況はなかなか厳しいようだ。
持続時間は能力向上改で一時間半、極みだと一時間。
極みの使用は許可していないとはいえ、タイムリミットは一時間と見るべきだな。
報せてくれたのはすごくありがたいんだけど、こりゃあいよいよ厳しくなってきたぞ。
「お館様、我々にも能力向上魔法の使用をご許可願います」
イラードが改まって跪く。
確かにゴリ押しで強行突破していくべき状況かもしれないけれども効果が切れた時のことも考えると許可は躊躇しちゃうよね。
「二人だ。二人だけに使用を許可する」
「じゃあまずはワシ……」
「ガーブラは奇襲戦の時に使っているじゃないか。今度はオレの番だ」
「むむぅ……イラードは使ったんじゃないのか? 関門戦で」
「ああ、使った。だがな、ガーブラ。魔法を受けたいのはワタシだって同じだぞ」
お、おぅ……副作用の酷さを知っててうちの武将どもはなんでそんなに使いたがるんだ?
てか、そこで主張し合っていると大事な時間が刻一刻と過ぎちゃうじゃないか。
「ええい、もういい。魔法を使用するのはサビーと私だ」
「そんな、殺生な!」
「その魔法、あっしにかけていただくってのはダメでしょうか?」
トビーまでかよ、まったく……。
「言い争っている時間はない。チャールズ、頼む」
「はい」
くそー、使いたくないんだけどなぁ……。
魔法をかけてもらった後はひたすらに最上階を目指す。
外観の窓の位置から五階建てと思われた城である。
四階から五階に登る階段の一つを見つけたところで後ろから追ってきた敵部隊に追いつかれてしまう。
「ここは、オレに任せてもらいましょう」
嬉々として殿を務める主張するサビー。
両手にはバコードとの戦いで失った剣の代わりに敵兵から奪った剣が一本ずつ握られている。
あれ? これって邦画のアクションものとかでよくあるシチュエーション?
結構な人数いるけど、一人で相手にできるのか?
変なフラグじゃないだろうな?
「あっしが付き合いやす」
と、トビーが主張する。
「はん、じゃあ背中を任すぜ。背中だけでいいからな」
「無理はしませんぜ」
んーん、悩んでいる暇はないな。
「任せた」
短く言うと、僕らは先を急ぐ。
階段を登って突き当たりのドアを蹴破ると、そこにはひときわ意匠を凝らした鎧に身を包んだ小柄な五十がらみの男と、屈強な兵士たちがいて一様に驚いた顔をこちらに向けた。
反応早く鞘から剣を引き抜いた男が二人。
ただ、この二人ってのがなかなかの強敵と見た。
目立つ三人以外の兵士をざっと数えると十五人ほど。
他に五十がらみの男によく似た青年と少年が、どちらもそれなりに華美な鎧を着て男のそばにいる。
こっちは引き連れている歩兵だけでも三十人。
それに魔法部隊一隊や忍者部隊がいて総勢で六十人だ。
「ズラカルト男爵とお見受け致す。見ての通りだ。大人しく降伏することを進める。我が軍門に降りたまえ」
「なにを言うか、田舎武将の分際で。このザバジュが斬り殺してくれる」
向かって右の男がそう吐き捨てて斬りかかってきた。
まったく。
小脇に抱えていた槍を横凪に払うと、サバジュがさっと後ろに飛び
やるな。
「ティブルック、気をつけろ。こやつなかなかやるぞ」
「ティブルック。ティブルックか。お主の相手はワシがしてやろう」
ニヤニヤしながらガーブラがこれもサビーと同じく敵兵から奪った剣を肩に担いで前に出てきた。
え? この狭い部屋で複数の戦闘?
じゃ、槍なんか振り回している場合じゃないな。
槍をオギンに渡して腰からジャリが鍛えた反り身の片刃刀を抜き放つ。
打ち合ったら一発でダメになるから出来れば一太刀で決めたいな。
「イラード、チャールズ。邪魔はしちゃなんねぇぞ」
と、ガーブラが言うからしないんだろうな。
僕としてはしてくれても構わないんだけど。
まぁ、後々の風評を考えると正々堂々と戦って勝っておきたくはあるか。
能力向上中だから負けない。
……はず。