第129話 戦後処理_執務室にて
文字数 1,946文字
「状況はどうだ?」
制圧した代官屋敷の執務室、刻々と入ってくる情報に耳を傾けている。
「は、最後まで抵抗していた正規兵部隊はギラン隊が鎮圧。ルビンス、サビー、バンバ、ケイロ、チロー、ルダー、ジャリ、ジャスに五人ずつつけて町中を残党捜索に出しておりますが、今の所敵勢力と思われる存在は確認できておりません。カイジョー隊を第五先の村、イラード隊には第四先の村制圧の指示をだして派兵しております。まぁどちらも単なる農村ですから抵抗もなく降るかと思います」
テキパキと状況報告をするのはルビレルだ。
「投降兵は武器を接収してギラン隊が警備、けが人はチャールズやクレタたちが手当てにあたっています」
「死者は?」
「敵方に五十六名、我が方は六名です」
「敵の犠牲が目標より多いな」
「かなり頑強に抵抗したようです。おかげでギラン隊に被害が出てしまいました」
戦闘行為に犠牲はつきものだが、無駄死にはよくないな。
特に今回のこちらの犠牲はまったくもって無駄死にだ。
敵の犠牲も大人しく投降すればここまで死なずにすんだものを……。
「その件に関してですが」
と、話に入ってきたのはキャラだった。
現在、オギンはホタルと共にハンジー町にいる。
「ギラン隊が投降を呼びかけなかったというコチョウからの報告が上がっております」
なんですと!?
「それが事実だとすると厄介ですな」
ホントだよ。
「キャラ、コチョウとキキョウを使って裏を取れ」
「かしこまりました」
「報告の続きを」
「は。事前に把握していた軍事力は常備の傭兵を含めて約三百二十。内応したのが六十一名、まだ全体を把握していませんが、捕虜投降者含めて百八十人ほどということですから……」
「二十人くらいいないな」
「そのようです」
さて、残党捜索はどれくらいの成果を上げられるでしょうか?
(半分も見つけられたら御の字かしら?)
だよねー。
(僕は、二、三人捕まえられれば合格だと思っているよ)
(控えめな数字ね)
(そんなもんだよ。だいたい形ばかりの門は攻め手にはありがたいけど、閉じ込めるのも難しい)
(そうね)
「報告を続けても?」
おっと、リリムと話している場合じゃなかったか。
「続けてくれ」
「ザイーダ隊を見張りとして城壁に上がらせていますが、出入口が四ヶ所もあるこの町では厳重な警備というのは難しく、残りの敵兵はすでに逃げている可能性もあります」
「輜重隊へは?」
「ガーブラ、ベハッチ、サイコップとラバナルを向かわせました」
ガーブラとラバナルがいれば逃げたとみられる二十人が一度に攻撃でもしない限り大丈夫だろう。
「日が暮れるまでに内応者とあっておくか」
「すでに隣室に控えさせております」
と、キャラが迎えに出る。
いくらもしないうちに三人の代表者が入ってきた。
僕は精一杯お館様の威厳を演出する。
「お初にお目にかかります」
中央の男がいう。
「堅苦しいのはなしだ。ジャン・ロイ、皆からはお館様と呼ばれている」
「右からセイ・シャーラック、ホーク・サイ、ウータ・マーローでございます」
と、紹介したのはキャラだった。
おおぅ……こりゃまた絵心のありそうな三人だ。
そういえばハンジー町の三人は芝居が好きそうな名前だった。
…………。
この世界のネーミングセンスは僕の知識量を試している気がしてしょうがない。
後、ウータがえっらいクールビューティーなんですけど。
キャラもクールビューティーだけど、色っぽいナイスバディの長身美人のキャラとは違ってスレンダーで男装の麗人といったおもむきだ。
これは理系美人だな。
うん、間違いない。
(男ってば、すぐこれだ)
あ、いや、待って。
ほら、第一印象ってやつで、ね?
人は見た目が九割って……。
(サラに言いつけてやろっと)
(いや、待って、待って……)
僕はニヤけるリリムにハタと気づいた。
(リリム、サラには見えないべや!)
(あっはー、バレたー)
棒読みー。
と、とにかく、今は目の前の三人だな。
「この度の内応感謝する」
「いえ、かねがねお噂は聞き及んでおりました。我ら一同、主と仰ぐのなら聡明なお方と思っておりましたので、キャラ殿から此度の話をいただき一も二もなくご賛同した次第です。本当はもっと仲間を増やしたいところだったのですが……」
「いや、十分だ」
ちょっと話が長いタイプだ。
適当に切り上げたいな。
「色々と話を聞きたいところだが、まだすべてが終わったわけではないので今日は挨拶だけで失礼させてもらうよ。明日改めて会談の時間を取ろう」
「判りました」
三人はきたとき同様、キャラに連れられ部屋を出て行った。
「彼らをどう処遇するつもりですか?」
「我が軍は人材不足だ。能力があれば逐次登用するよ」
「御意」
おお、「御意」とかなんか偉くなった気になるよ。
制圧した代官屋敷の執務室、刻々と入ってくる情報に耳を傾けている。
「は、最後まで抵抗していた正規兵部隊はギラン隊が鎮圧。ルビンス、サビー、バンバ、ケイロ、チロー、ルダー、ジャリ、ジャスに五人ずつつけて町中を残党捜索に出しておりますが、今の所敵勢力と思われる存在は確認できておりません。カイジョー隊を第五先の村、イラード隊には第四先の村制圧の指示をだして派兵しております。まぁどちらも単なる農村ですから抵抗もなく降るかと思います」
テキパキと状況報告をするのはルビレルだ。
「投降兵は武器を接収してギラン隊が警備、けが人はチャールズやクレタたちが手当てにあたっています」
「死者は?」
「敵方に五十六名、我が方は六名です」
「敵の犠牲が目標より多いな」
「かなり頑強に抵抗したようです。おかげでギラン隊に被害が出てしまいました」
戦闘行為に犠牲はつきものだが、無駄死にはよくないな。
特に今回のこちらの犠牲はまったくもって無駄死にだ。
敵の犠牲も大人しく投降すればここまで死なずにすんだものを……。
「その件に関してですが」
と、話に入ってきたのはキャラだった。
現在、オギンはホタルと共にハンジー町にいる。
「ギラン隊が投降を呼びかけなかったというコチョウからの報告が上がっております」
なんですと!?
「それが事実だとすると厄介ですな」
ホントだよ。
「キャラ、コチョウとキキョウを使って裏を取れ」
「かしこまりました」
「報告の続きを」
「は。事前に把握していた軍事力は常備の傭兵を含めて約三百二十。内応したのが六十一名、まだ全体を把握していませんが、捕虜投降者含めて百八十人ほどということですから……」
「二十人くらいいないな」
「そのようです」
さて、残党捜索はどれくらいの成果を上げられるでしょうか?
(半分も見つけられたら御の字かしら?)
だよねー。
(僕は、二、三人捕まえられれば合格だと思っているよ)
(控えめな数字ね)
(そんなもんだよ。だいたい形ばかりの門は攻め手にはありがたいけど、閉じ込めるのも難しい)
(そうね)
「報告を続けても?」
おっと、リリムと話している場合じゃなかったか。
「続けてくれ」
「ザイーダ隊を見張りとして城壁に上がらせていますが、出入口が四ヶ所もあるこの町では厳重な警備というのは難しく、残りの敵兵はすでに逃げている可能性もあります」
「輜重隊へは?」
「ガーブラ、ベハッチ、サイコップとラバナルを向かわせました」
ガーブラとラバナルがいれば逃げたとみられる二十人が一度に攻撃でもしない限り大丈夫だろう。
「日が暮れるまでに内応者とあっておくか」
「すでに隣室に控えさせております」
と、キャラが迎えに出る。
いくらもしないうちに三人の代表者が入ってきた。
僕は精一杯お館様の威厳を演出する。
「お初にお目にかかります」
中央の男がいう。
「堅苦しいのはなしだ。ジャン・ロイ、皆からはお館様と呼ばれている」
「右からセイ・シャーラック、ホーク・サイ、ウータ・マーローでございます」
と、紹介したのはキャラだった。
おおぅ……こりゃまた絵心のありそうな三人だ。
そういえばハンジー町の三人は芝居が好きそうな名前だった。
…………。
この世界のネーミングセンスは僕の知識量を試している気がしてしょうがない。
後、ウータがえっらいクールビューティーなんですけど。
キャラもクールビューティーだけど、色っぽいナイスバディの長身美人のキャラとは違ってスレンダーで男装の麗人といったおもむきだ。
これは理系美人だな。
うん、間違いない。
(男ってば、すぐこれだ)
あ、いや、待って。
ほら、第一印象ってやつで、ね?
人は見た目が九割って……。
(サラに言いつけてやろっと)
(いや、待って、待って……)
僕はニヤけるリリムにハタと気づいた。
(リリム、サラには見えないべや!)
(あっはー、バレたー)
棒読みー。
と、とにかく、今は目の前の三人だな。
「この度の内応感謝する」
「いえ、かねがねお噂は聞き及んでおりました。我ら一同、主と仰ぐのなら聡明なお方と思っておりましたので、キャラ殿から此度の話をいただき一も二もなくご賛同した次第です。本当はもっと仲間を増やしたいところだったのですが……」
「いや、十分だ」
ちょっと話が長いタイプだ。
適当に切り上げたいな。
「色々と話を聞きたいところだが、まだすべてが終わったわけではないので今日は挨拶だけで失礼させてもらうよ。明日改めて会談の時間を取ろう」
「判りました」
三人はきたとき同様、キャラに連れられ部屋を出て行った。
「彼らをどう処遇するつもりですか?」
「我が軍は人材不足だ。能力があれば逐次登用するよ」
「御意」
おお、「御意」とかなんか偉くなった気になるよ。