♡実りの喜び 収穫の慈しみ

文字数 7,798文字

 秋。それは春に準備をしていたものが収穫を迎える時期。果実や穀物、木の実などがたわわに実り、それらを楽しみにする人たちも数多い。もちろん、気候にも恵まれた季節ともあり体を動かして爽やかな汗をかく者や、大地の恵みに感謝をして食事を楽しむ者と様々。
 今日もシュクレがキッチンで新作スイーツを手掛けているとき、勝手口から扉を叩く音が聞こえた。誰かと思い扉を開けると、籠いっぱいに大地の恵みを抱えた豊穣神デメテルだった。大量の小麦にはじまり、大量の果実が今にも零れてしまいそうなほどに盛られていた。
「こんにちは。突然、お邪魔してごめんなさい」
「デメテルさん! こんにちは! わぁ! どうしたんですか? こんなにたくさん」
「わたしの畑でとれた作物たちなのですが、予想を上回る収穫だったのでおすそわけです」
「こんなに……すごぉい!」
「なにかのお役に立てていただけたら嬉しいです」
「ありがとうございます!!」
 シュクレは籠からひとつも落とさないよう、慎重に受け取るとデメテルに何度も頭を下げた。そこへ何か閃いたのか、シュクレはキッチンに籠を置き店の中へと入ると小さな箱をデメテルに手渡した。
「新作のスイーツでお返しです。数が少なくて申し訳ないですが……」
 デメテルは首を横に振り、柔らかく微笑んだ。その気持ちだけで十分ですと言い、デメテルはシュクレに別れを告げた。

 その日の営業が終了し、シュクレはデメテルから貰った大量の恵みをどうしようかと考えていた。艶のある栗、大粒のイチゴ、きめ細かな小麦粉……これらを使ったらきっと美味しいスイーツができるのは間違いない。しかし、どうやったらいいかと胸の鼓動に問いかけるとすんなりと答えは返ってきた。
「そうだ!! いいこと考えちゃったぁ!!」
 シュクレは何かを思いつき、早速思いついたことを紙に書いて構想を練り始めた。それは夜遅くまで続くも、ワクワク感が勝り疲れはどこかへ行ってしまっていた。

「号外でーす! 号外でーす!」
 翌日の営業日。シュクレは開店前に自作のチラシを道行く人たちに渡していた。それを受け取った人たちからは驚きの声もあれば、喜びに弾む声など様々だった。それはこの季節にしか楽しめないとびっきりの内容が書かれていた。

─シュクレの新作スイーツ争奪戦?! 秋の宝探しゲーム♪
 みんなで協力をして、シュクレの新作スイーツをゲットしよう!
 どんなスイーツかは当日まで内緒です☆ みなさん、奮ってご参加ください!

 〇月〇日 10時開始 場所は○○地区運動公園 第二グラウンド
 動きやすい恰好で楽しみましょう!!

 可愛い字で書かれたチラシは開店前になくなり、開店後はシュクレ自らが来店してくれたお客さんに告知をするという徹底ぶりだった。それを聞いて参加しようかしないかを悩んでいるカップルもいれば参加する一択のお客さんもいた。その反応を見るたびにシュクレのワクワク感は増していき、どんなスイーツを作ろうかという考えに様々なアイデアが浮かんでいく。
 翌日もシュクレのお店は大盛況で、ショーケースに入っているスイーツは午前中で完売してしまうほどの人気だった。そこで急遽、シュクレは午後までの時間を使ってスイーツを作るため、お店を閉めた。少しでもたくさんの人に味わって欲しいという気持ちを込めて一つ一つ丁寧に作り上げていくスイーツは、どれもが輝いてみえるほど煌びやかでいてとても可愛いものばかりだった。それらを作る一方、シュクレは別のことを考えていた。それはもちろん……。
「何を作ろうかな……もうワクワクが止まらないよー!」
 そのことを考えるだけで、シュクレのスイーツはさらに輝きを増していくのであった。

 十分なスイーツが準備が整ったところで、シュクレはお店を開けてお客さんを満面の笑顔でお迎えをした。開店と同時に待ちきれなかったお客さんはお店になだれ込みそうなところをシュクレはうまくコントロールをし、少しずつ店内に案内をしていった。最初はシュクレのスイーツ欲しさに熱気さえ感じるお客も、シュクレの丁寧な案内に頭を冷やしルールを守っていた。
 午後の分も完売となり、閉店時間まではまだあるのだがシュクレは申し訳ない気持ちを出しながら閉店の看板を出した。静かになった店内を見るとさっきまで賑わっていたのが夢みたいだとシュクレは思った。そんな思いに浸れるのもこの職業の魅力なのかなと胸に問いかけてみた。すると、胸の鼓動は小刻みで反応をした。それをもう一人の自分の答えだと受け取り、シュクレは大運動会に向けて準備を進めた。
「明日かぁ……よおし!! 頑張るぞー!!」
 気合を入れ、シュクレは運動会の準備を進めていった。
「なるほど……それはいいことを聞きました。明日、楽しみにしましょう」
 どこかで格式高い声があったとしても、集中力マックスのシュクレの耳には届かなかった。

 宝探しゲーム当日。雲一つない気持ちの良い青空の下、たくさんの参加者がグラウンドに集まっていた。それは人だけにあらず、天使や悪魔、面妖な者までと幅広かった。ただ、ここに集まっているのはシュクレのスイーツを心待ちにしているファンであることには代わりない。今は種族など気にせず、楽しく過ごしたいという者が大半だった。いよいよ開幕の挨拶をする時間になり、シュクレのワクワク感は最高潮を迎えていた。ふうと大きくを吐き、シュクレは元気よくステージに上がった。
「みなさーん! 今日は集まってくれて有難うございまーす!!」

 ウォオオオオオ

「今日はわたしの新作スイーツをかけた宝探しゲームで楽しんでいってください!!」

 ウォオオオオ!!

「さっそくですが、ルール説明です。今から白組と黒組に分かれてもらいます。そしてそれをさらにチーム分けしていきます。そうですね……三チームくらいになりそうですね。そのチームのリーダさんにヒントが書かれたメモを渡しますのでそれを頼りに宝物を探してください。宝物を見つけたらわたしのところへ持ってきてください。そこで正しい宝物であればクリアです! もちろん、偽物の宝物もありますから気を付けてくださいね! では、参加者はこれでみなさんですね」
「いえ。まだ私たちがいます」
 突如、頭上から声が聞こえた。それもどこか威厳を感じる声が……。声のする方を見ると、大きな翼を広げながら現れた男性とその隣に女性が二人……。一人はもじもじとしていて、もう一人は嬉しそうににこにこ笑いながらゆっくりと地上へと降り立った。
「あ……あなた方は……??」
「申し遅れました。私はファヌエルと申します。あなたの作るスイーツに興味のある者です。そしてこちらが……」
 銀色の髪に柔らかな笑み、純白のマントに大きな杖を手にした天使─ファヌエルが隣を見た。
「イザベラですぅ。前からシュクレさんのスイーツが大好きなんです。今日は頑張ります!」
 金色の髪に幼さの残るふわりとした笑顔、のんびりとした口調の天使─イザベラが隣を見る。
「……が……がぶ……えるです」
 ファヌエルと同じく銀色の髪にすらりとした体躯、右目にはモノクルをした赤面の天使─ガブリエルがもじもじしながら自己紹介をするも、隣にいるイザベラに指摘を入れられる。
「もう、そんな小さな声じゃ聞こえませんよ。もっと大きな声出しましょうよー」
「もう……助けてほしいから付いてきてみたら……まさかシュクレさんのイベントだったなんて……恥ずかしい。ん……んん! わ、わたくしはが、ガブリエルです。よろしく」
 顔を赤めながら自己紹介を済ませたガブリエルは、手で顔面を覆うとイザベラからなにやらちょっかいを受けて更に顔を赤らめた。ファヌエルは深々とお辞儀をし、どちらの組に入ろうかと悩んでいると、今度は地中からくぐもった声が聞こえた。
「我も参加する」
 黒い模様が描かれ、そこからゆっくりと現れたのは冥界の王ハデス。堂々とした態度は会場にいる参加者を怯えすくませるには十分すぎた。ふんと鼻を鳴らしシュクレと対峙し、参加表明を出した。すると、その黒い模様からまた別の人物が現れた。
「へっへーん。これで逃げられる……あれ?? ここ……どこなの??」
 獣耳に子供っぽい笑顔を宿した魔獣─ガルム。冥界に近づくものを追い払い、冥界から逃げ出す者を監視する役目……なのだが、役目をほったらかしあちこち遊びまわっている。
「ガルム君。今日という今日こそは逃がしませんよ……? え??」
 そしてそれを追いかける冥界の苦労人─オルプネー。彼女は冥界で様々な業務を担うのだが、本来は彼女がしなくてもいい業務もこなしているせいか、日々書類の山と格闘をしている。そして、ある業務をガルムに任せたのだが一行に進展報告がないので調べてみたら、絶賛職務放棄中だったため彼女が追いかけていた……というわけだ。
 突然、違う世界にやってきてしまった二人は今の状況を理解するのに相当の時間を要した。シュクレが説明をすると一人は納得し、もう一人は頭を抱えながらその場に蹲ってしまった。
「そんな……まだ仕事が残っているというのに……なんということなの……胃が痛いです」
「まーまー。ここは諦めが肝心ってことで」
「……シャドウワームに追いかけられたいようね……」
「いいっ!? 冗談だってばぁーー!」
 ハデスが二人に代わって、逃げているのがガルムで追いかけているのがオルプネーだということを紹介した。それにすんなり頷き趣旨を簡単に説明した。ハデスはすぐに頷きガルムとオルプネーは首を捻りながらなんとか理解をして参加することになった。
「では、リーダーさんは白組ファヌエルさん、ガブリエルさん、イザベラさん。黒組はハデスさん、ガルムさん、オルプネーさんに決定します。それでは、このメモを頼りに宝物を探してきてください。それでは皆さん、お待たせしました。シュクレ新作スイーツ争奪戦、開始です!!」
 シュクレが宣言をすると、白組黒組一斉に動き出した。白組は西側、黒組は反対の東側へと散開していった。
「では行きましょう。エスペランサーズ!」
 ファヌエルが声高に名前を呼ぶと、どこからともなく純白のローブを纏った天使が降臨し、ファヌエルの周りに就いた。自信に満ち溢れたその天使たちはファヌエルチームに歓喜の声をもたらした。
「これを皆で解読し、我々に勝利をもたらすのです」
 エスペランザーズにメモを渡し、宝物のありかを探すよう指示をするとすぐに答えが分かったのか、一人のエスペランザーズが羽ばたきここだと地面を指さす。参加者の一人が辺りを探すもそれらしき物は見つからず不発に終わった。
「だめでしたか……じっくり考えましょうか」
 参加者とファヌエル、そしてエスペランザーズはメモとにらめっこを始めた。

 一方、こちらは黒組のハデスチームとオルプネーチーム。メモを頼りに探してはみるものの、中々見つからずハデスは焦りを感じていた。段々と険しくなるハデスの顔をみたオルプネーはどうかしましたかと尋ねた。
「う……うむ。これは……負けられないのだ。絶対に」
「そんなに力まなくても……もう少し気楽にって……はぁ、私が言える立場じゃないんですけどね……いたたた」
 痛むお腹を抑えながらオルプネーはぼやいた。そう言っても一向にハデスの顔が和らがないことに疑問を抱いた。
「ハデス……さま??」
「……ペルセポネに言われたのだ。『スイーツ、楽しみにしてるわ』って……。はぁ……もし、これで手ぶらで帰ってしまったら……想像するに容易いだろ」
「あぁ……まぁ、そうですね……」
 本当なら黙って行こうとしたのだが、ハデスの妻─ペルセポネにバレてしまったのだ。経緯を正直に話したハデスは、言い終わってからはたと気付いた。

と。
「へー。そんな催しがあるのね。じゃあ、あたしに代わってそのスイーツを貰ってきてね? あ・な・た♡」
 素敵な笑顔だと言うかもしれない。が、この時の笑顔はそうではない。額から汗が止まらないハデスは愛する妻の答えを正しく解釈した。

 手ぶらで帰ってきたら承知しない

 と。
「こうなったらどんな手段でも構わん。必ずスイーツを持って帰らねば……」
「……お察ししますわ。といっても、このメモだけでは……なんとも難しいですね」
「それは皆で考えるのだ。どんな些細なことでも構わん。さぁ、皆で知恵を出し合うのだ」
 冥界の王ともあろうお方がここまで怯えているのを、オルプネーは見たことがなかった。

 その頃、シュクレは争奪戦のご褒美スイーツの準備をしていた。出来立てをどうしても食べてほしいという思いから、会場の裏に急遽設置した出張キッチンで鼻歌を歌いながら生地を作っていた。材料をボウルに入れ、ホイッパーでかき混ぜただけなのだが、その場にふわりと漂う甘い香りにうっとりするシュクレ。その香りをもっと楽しむため、その生地を型に流し込み熱々のオーブンの中へと入れる。やがて漂う甘い香りがシュクレだけでなく、参加者の士気を高める。
「甘い香りで戦場をコントロールです♪」
 各チームに届けられた甘い香りは、確かに皆の士気を向上させた。遠くから頑張るぞという声や気合を入れる声が聞こえてくると、シュクレは益々嬉しくなった。

 こちらはガブリエルチームとイザベラチーム。ガブリエルはメモに向かってなにやらぶつぶつと言いながら考え、イザベラは直感でここだと思う場所を手あたり次第に探していた。その場所へ行っては戻ってきて行っては戻ってきての繰り返しに、落ち着きなさいとイザベラを一喝した。
「もう少し考えてから行動なさい。あなたのチーム、皆さんお疲れなのが分からない?」
 イザベラについて行っては戻ってきてを繰り返す内、バテてしまった参加者が後を絶たなかった。それにも構わずに行動しているイザベラにガブリエルは更に苛立ちを覚えた。
「あなたは周りに配慮して動けないのですか。まったく、これではスイーツどころではなくなりますよ」
「あ……ご、ごめんなさい」
 ことの重大さにやっと気が付いたイザベラは、ぜーぜーと息をしながらついてきている参加者に謝った。さすがに悪いことをしてしまったという自覚が出たせいか、いつもよりしゅんとした表情を浮かべていた。
「あなたが大丈夫でも、周りがそうではないときだってあるんです。次からは気を付けて行動なさい」
「……はい。気を付けます」
 しゅんとしているイザベラを見たガブリエルは、イザベラの頭を軽く撫でると「スイーツ、絶対にゲットするわよ」と小声で言った。それにこくんと頷くイザベラの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「エスペランザーズ。この辺りではないでしょうか」
 ファヌエルチームはメモに書かれている場所を突き止め、辺りの捜索に取り掛かっていた。地形を見る限りここで間違いないと読んだファヌエルは参加者たちに入念な捜査の指示を出した。
すると、参加者の一人が大きな声を上げて手を振っているのが見えた。すぐにファヌエルやほかの参加者が集まり中身を確認する。小さな箱があり、その中には銀色のカギが入っていた。本当にこれなのだろうかと疑問を持つ参加者もいたが、これだと胸を張ってシュクレのところまで持っていく。
「あの者……なんとも美しい」
 ファヌエルも息を飲むほどに堂々としたその参加者に皆が続く様子を見たハデスチームは、大層悔しがっていた。オルプネーチームは意外にも「あら、もう見つかったの」という一言。そしてガルムチームはというと……。
「こっちの世界は天気いーねー。お宝探し? 見つかったら呼んでよ」
 という始末。これには参加者から深いため息が漏れた。中にはあの女性の気持ちがわかった気がするという声も聞こえたとか。

 ファヌエルチームが見つけた宝物をシュクレがじっくりと見ている間も、ハデスは両手を合わせて「どうか間違ってますように」と必死にお祈りをしていた。そして、結果を発表しますというシュクレの声に参加者一同は固唾を飲んで見守った。
「お待たせしました。こちらはメモに書かれた宝物……です!! おめでとうございます!」
 会場は歓喜の声と残念がる声とが混じると、シュクレは焼き立てのスペシャルケーキを切り分け、一番最初に発見したチーム全員に手渡した。
「これは皆の力の成果……共に祝しましょう!!」
 ファヌエルが一口ケーキを運ぶと、天使の顔をも綻ばせるあまりの美味しさにしばらく言葉をなくしていた。その無言は一体なんだとばかりにきょろきょろする参加者も次々にケーキを口に運ぶと、皆揃ってケーキの美味しさに言葉をなくすのであった。
「くそ……くそ……我の力が及ばなかったがばっかりに……くそ……くそぉ……」
 あまりの悔しさに大地に拳を叩きつけるハデス。そしてその眼には涙を浮かべていた。よほど悔しいのか……それとも帰るのがこわいのかは分からないが、ハデスは終始おいおいと泣いていた。と、そこへハデスに近付く何者かが現れた。
「はい。ハデスさん。どうぞ」
 明るい声に顔を上げると、そこには眩しいばかりの笑顔のシュクレがいた。そして、その手には切り分けられたケーキをのせたお皿を持っていた。
「なぜだ……なぜ。我は争奪戦に負けたのだぞ……なのに……」
「あはは……実はその、ちょっとした手違いがありまして……」
 その手違いというのも、争奪戦なのは争奪戦なのだが先着順で出来立てを試食できますというものが綺麗さっぱり抜けていたのだった。それに気が付いたのはついさっきで慌てていたのだが、デメテルがくれた材料を加えれば参加者全員に配れることが判明したとのことだった。
「その……くれるのか。敗北した我にも……」
「もちろん! それと……はい。こちらをお持ちください」
 それは小さな箱だった。ハデスはそれを受け取り、中を確認するとシュクレが持っているケーキと同じ物が入っていた。
「ぜひ、待っている方にも届けてください。わたしの新作スイーツ」
「ああ……ああ。必ず。必ず届ける……約束だ」
「ハデス様……」
 嬉しさのあまり、言葉を詰まらせまた泣き出した冥界の王はシュクレの新作スイーツを食し更に泣いた。オルプネーもケーキを一口頬張ると、あまりの美味しさに言葉をなくし立ち尽くしていた。
 遅れてやってきたガブリエルチームとイザベラチームにも新作スイーツが配られ、二人は大ファンであるシュクレのスイーツに舌鼓を打った。

 こうしてシュクレ主催のスイーツ争奪戦という名のイベントは幕を閉じた。参加者全員に今回のミスについて話すと、参加者全員から拍手が巻き起こった。ミスはミスでも嬉しいミスだったと参加者の一人が声を上げると、拍手がより大きなものになって会場をわかせた。最後は参加者一人一人に挨拶をし、最後の一人が会場からいなくなるまで見送りをすると空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
「はぁ……なんだかあっという間の一日でしたね……。あ、明日の仕込みしなくっちゃ!」
 楽しかった気持ちに浸るのもそこそこに、シュクレは急いで会場を片付けて明日の開店準備をするために大急ぎでお店へと帰っていった。あれだけたくさんの参加者の分を用意したというのに、シュクレの顔からは疲れを感じさせない笑顔があった。
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